【得点源】不動産登記法 登記記録・申請・仮登記を一気に攻略するポイント集

不動産登記は、宅建試験において毎年必ず出題される最重要分野のひとつです。
しかし、「表題部と権利部の違いが曖昧」「登記の仕組みがよく分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、登記記録の基本構造から申請手続、登記識別情報、仮登記まで、試験対策に必要なポイントを体系的にわかりやすく整理しています。
“なんとなく理解”から“確実に得点できる理解”へ引き上げることを目的に解説していきます。


目次

1. 登記記録とは何か?

登記記録のイメージ

【表題部】 表示に関する登記
 所在:〇〇市〇〇町〇丁目〇番
 地目:宅地
 地積:165㎡

【権利部】 権利に関する登記
 ・所有権(共有持分・買戻特約なども含む)
 ・地上権
 ・賃借権
 ・(根)抵当権

(1)登記記録とは?

以前の章↓↓で「二重譲渡の優劣は登記によって決まる」と学びましたね。では、その「登記」とは、具体的にどういうものなのでしょうか?

不動産とは土地と建物のことです。登記記録は、一筆(ひとつの区画)の土地または一個の建物ごとに作られます。この登記記録をまとめて収録したものが登記簿です。

ポイント:登記簿は紙の帳簿ではなく、電磁的に記録されて登記所(法務局)に保管されています。

なお、登記所には登記簿とは別に地図建物所在図も備え付けられています。ただし、これらは登記記録とは性質が異なり、複数の土地・建物をまとめて一枚の図面として作成することが認められています。


(2)登記記録の2つの構成要素

登記記録は、土地・建物いずれの場合も次の2つで構成されています。

区分内容
表題部表示に関する登記(表示登記)
権利部権利に関する登記(権利登記)

表題部には何が記録されるか?(不登法第27条等)

表題部には→土地・建物の「表示に関する登記」が記録されます。


(1)表題部に記録される内容

表題部は、登記記録の「顔」にあたる部分です。「どこにある、どんな不動産か」を特定するための情報が記録されます。

【土地の場合】

  • 地目(宅地・田・畑・山林・原野など、主な用途により区分)
  • 地積(面積) など

【建物の場合】

  • 種類(居宅・店舗・事務所・工場・倉庫など)
  • 構造(木造かわらぶき2階建など)
  • 床面積 など

⚠️ 注意! 不動産の価格は記録されません。あくまで「物件を特定する情報」だけです。

また、地目・地積・建物の種類・構造・床面積などに変更があった場合、所有者は1カ月以内に変更の登記を申請しなければなりません。


(2)床面積の測り方——「壁芯(へきしん)」

建物の床面積は、壁などの区画の中心線(壁芯)で囲まれた部分の水平投影面積で算出します。

🎯 試験のポイント:「内法(うちのり)」ではなく「壁芯(へきしん)」 です!ここは頻出なので必ず覚えましょう。


(3)申請期限は「1カ月以内」

表題部に最初に行われる登記を表題登記といいます。

以下のケースでは、いずれも1カ月以内に申請しなければなりません。

ケース申請すべき登記
建物を新築したとき表題登記
建物が滅失したとき滅失の登記
埋立地など新たに生じた土地を取得したとき表題登記
表題登記のない建物の所有権を取得したとき表題登記

(4)管轄区域をまたぐ建物の場合

建物が2つの登記所の管轄にまたがって建てられた場合、両方の登記所に申請する必要はありません。 法務大臣が一方の登記所を指定し、そこ一カ所に申請すればよいとされています。


(5)分筆・合筆(土地の場合)

分筆(ぶんぴつ): 一筆の土地を複数の筆に分ける登記

合筆(がっぴつ/ごうひつ): 複数の筆の土地を一つにまとめる登記

分筆の注意点

A地をA地とB地に分筆した場合、A地にかかっていた抵当権は原則としてA・B両方の土地に存続します。どちらか一方のみに抵当権を残したい場合は、不利益を受ける抵当権者の承諾が必要です。

合筆の注意点

以下の場合、合筆登記はできません

  • 所有権の登記がある土地と、所有権の登記のない土地の合筆
  • 地目が異なる土地同士の合筆(例:宅地と田)

(6)分割・合併(建物の場合)

分割登記: 附属建物を主たる建物から切り離して独立の建物とする登記

合併登記: ある建物を別の建物の附属建物として一体化する登記

合併の注意点

それぞれの建物に別々の抵当権が登記されている場合、原則として合併登記はできません。合併後に2つの抵当権の優先関係を整理できなくなるためです。

ただし、例外として、2つの抵当権の「登記原因・日付・登記の目的・受付番号」がすべて同一であれば、合併登記が認められます。


✅ 例題

建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人は、その滅失の日から1カ月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。

答え→ここをクリック

【解答】正しい。 建物が滅失(火災など)した場合、所有者は1カ月以内に滅失の登記(表示に関する登記)を申請する義務があります。


3. 権利部には何が記録されるか?(不登法第59条)

権利部には→「権利に関する登記」が記録されます。


(1)権利部の構成——甲区と乙区

権利部はさらに甲区乙区の2つに分かれています。

区分記録される権利
甲区所有権に関する権利
乙区所有権以外の権利(地上権・賃借権・(根)抵当権・配偶者居住権など)

💡 注意! 賃借権と配偶者居住権は債権ですが、登記できます。ここは試験でよく問われます。

配偶者居住権とは? 夫婦で暮らしていた自宅の所有者(夫)が亡くなったとき、残された配偶者(妻)がその自宅に無償で住み続けられる権利です。これを乙区に登記することができます。


(2)権利部に記録される内容の具体例

例えば、AがBにある土地を4月1日に売却したとすると、権利部には「4月1日にAからBへ所有権が移転した」という内容が記録されます(所有権移転登記)。

その他にも次のような事項が権利部に記録されます。

  • 売買契約が心裡留保により無効だった場合の所有権移転登記の抹消
  • 売買契約に買戻特約が付いていた場合のその特約
  • BとCが共同購入した場合の共有持分(持分は必ず記録される)

これらはいずれも所有権に関する事項なので、権利部の甲区に記録されます。


(3)登記申請の義務はあるか?

AがBに土地を売った場合、所有権移転登記は必ず申請しなければならないのでしょうか?

ここをクリック

答えはNo(×)です。

物権変動(所有権の移転など)が生じても、登記するかどうかは当事者の自由です(私的自治の原則)。登記をせず放置し続けても、法的には問題ありません。

ただし、相続の場合は例外です。

相続により不動産を取得した相続人は、所有権取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

登記申請義務のまとめ

ケース申請義務
建物の新築・滅失あり(1カ月以内)
相続による権利登記あり(3年以内)
相続以外の権利登記なし

(4)表題部所有者とは?

権利登記をするかどうかは自由のため、表示登記しかなく権利部が存在しない不動産も数多く存在します。しかし、所有者が不明では固定資産税の徴収などに支障をきたします。

そこで、権利部がない場合は、暫定的に表題部に所有者名が記録されます。この所有者を「表題部所有者」といいます。

⚠️ 注意! 表題部所有者の段階でその不動産の売買や相続が行われても、表題部で所有者名の名義変更はできません。名義変更は必ず権利部で行います。


(5)所有権保存登記

権利部に最初に行われる所有権の登記を「所有権保存登記」といいます。

所有権保存登記を申請できるのは、次の者に限られます。

  1. 表題部所有者(すでに死亡している場合はその相続人)
  2. 確定判決で所有者と認められた者 など

⚠️ 表題部所有者からその不動産を譲渡された者が、直接自分の名義で所有権保存登記を申請することは、原則としてできません。

なお、②の確定判決は給付判決・確認判決いずれでも可です。


✅ 例題

Aが建物を新築して表題登記をしたが、所有権保存登記をしないままBに売却した。その後Aが死亡しCが単独相続した場合、BはCの承諾を得ればB名義の所有権保存登記を申請できる。

答え→ここをクリック

【解答】誤り。 表題部所有者はAなので、所有権保存登記を申請できるのはAの相続人であるCです。Bは確定判決で所有者と認められていない限り、Cの承諾があっても申請できません。


(6)氏名変更の登記はどこに記録される?

例えば、乙区に「不動春子」名義で抵当権が登記されていた方が、結婚して「宅建春子」に改姓した場合、登記名義の訂正が必要です。

この訂正は権利部(乙区)に記録されます。「抵当権の登記名義人の氏名変更の登記」と呼ばれます。

⚠️ ひっかけ注意!「氏名を変えるから表題部では?」と思いがちですが、これは権利(抵当権)の名義人の変更なので、必ず権利部です。表題部ではありません!


✅ 例題1

配偶者居住権は、登記することができる権利に含まれない。

答え→ここをクリック

【解答】誤り。 所有権・地上権・賃借権・配偶者居住権・(根)抵当権などは、いずれも登記できる権利です。賃借権と配偶者居住権は債権ですが、例外的に登記が認められています。


✅ 例題2

根抵当権の登記名義人の住所変更の登記は、表題部に記録される。

答え→ここをクリック

解答】誤り。 住所変更も氏名変更と同じく、権利部に記録されます。表題部ではありません。


4. 登記された権利の順位はどう決まるか?(不登法第4条)

登記された権利の順位は→登記の先後(前後)によって決まります。

例えば、一番抵当権と二番抵当権では一番抵当権が優先します。この「一番・二番」という順位は、どちらが先に登記したかによって決まります。先に登記した方が優先——これが基本原則です。


5. 登記事項証明書(不登法第119条)

登記記録を印刷・出力したものが「登記事項証明書」です。→利害関係がなくても誰でも交付を受けられます。


(1)誰でも請求できる

登記は権利関係を広く公示するための制度です。戸籍謄本などと異なり、プライバシーの問題はありません。そのため、利害関係の有無にかかわらず、誰でも登記事項証明書の交付を請求できます。

また、交付請求はオンライン(電子申請)でも可能です。


(2)手数料は収入印紙で納付

登記事項証明書の交付は有料です。手数料は原則として収入印紙で納付します。


✅ 例題

登記事項証明書の交付の請求は、利害関係を有することを明らかにしなければならない。

答え→ここをクリック

【解答】誤り。 登記事項証明書は利害関係の有無にかかわらず誰でも請求できます。利害関係を証明する必要はありません。


ここまでの重要ポイントまとめ

テーマポイント
床面積の算出壁芯(中心線)で計算。内法ではない
申請期限新築・滅失・表題登記→1カ月以内
相続登記知った日から3年以内
権利登記の義務相続以外は自由(義務なし)
甲区・乙区甲区=所有権、乙区=それ以外
所有権保存登記申請できるのは表題部所有者確定判決で認められた者
氏名・住所変更表題部ではなく権利部
登記事項証明書誰でも請求可能

2. 登記手続のポイント


(1)申請が必要——登記は自動ではされない

AがBに土地を売った場合、登記所がその事実を察知して自動的に所有権移転登記をしてくれるのでしょうか?

答えはNoです。登記所がそのような「お節介」をすることは認められていません。なぜなら、登記をするかどうかは当事者が自由に決める事柄だからです(私的自治の原則)。

したがって、登記をするには当事者が申請することが原則です。


例外——表示登記は職権でも可能

ただし、表示登記は不動産の物理的状況を公的に明らかにするものであるため、当事者の申請がなくても登記官が職権で行うことができます。

例えば、建物の滅失登記は、登記官の職権で行うことが可能です。


⚠️ ここは丸暗記!原則・例外だけでは片付かない

登記法のやっかいなところは、「原則=申請が必要、例外=表示登記は職権でOK」という図式だけでは収まらない点にあります。次の2つは、理屈ではなくそのまま覚えてください

① 権利登記なのに職権でできるケース

ケース職権OK?
誤って受理された管轄違いの権利登記を職権で抹消
登記官のミスによる錯誤・遺漏のある権利登記を職権で更正(訂正)

② 表示登記なのに職権でできないケース

ケース職権OK?
土地の分筆・合筆登記を職権で実施
建物の分割・合併登記を職権で実施

🧠 覚え方のヒント: 土地は社会全体に関わる公共的性質が強いのでOK、建物は個人の財産としての色合いが濃いので✕——というイメージで整理しましょう。


(2)共同で申請——なぜ2人で申請するのか?

人は自分に都合のよいことを言いがちです。例えば、Bが「Aから土地を購入したので自分の名義に変えてください」と単独で申請したとしても、それが真実かどうか登記所には確認する術がありません。

しかし、売主のAも一緒に申請に来たとしたらどうでしょう。損をする立場のAが同席して申請しているのであれば、その内容は真実とみなせます。

このような考え方から、登記の申請は原則として次の2者が共同して行わなければなりません。

  • 登記権利者:登記によって利益を受ける者(例:買主B)
  • 登記義務者:登記によって不利益を受ける者(例:売主A)

例外——単独で申請できるケース

共同申請の原則には、以下の例外があります。

ケース理由
①所有権保存登記最初の所有権登記のため、そもそも登記義務者が存在しない
②仮登記(仮登記義務者の承諾がある場合)不利益を受ける側が承諾している以上、権利者が単独で申請できる
③登記名義人の住所・氏名変更の登記変更前後は同一人物のため、共同申請のしようがない
④相続による権利移転登記被相続人はすでに死亡しているため、相続人が単独で申請
⑤法人合併による権利移転登記吸収された会社は消滅するため、存続会社が単独で申請
⑥収用による権利移転登記土地所有者が協力しない場合もあるため、起業者が単独で申請
⑦相続人に対する遺贈による権利移転登記相続と実質的に同じ状況のため、受遺者が単独で申請できる(※相続人以外への遺贈は不可)
⑧表示登記権利者・義務者という二当事者の構図がそもそも存在しない
⑨判決による登記登記義務者が非協力的な場合、給付判決を得た権利者が単独で申請できる

⚠️ 注意! ⑨の判決は給付判決に限ります。「BがAに対して所有権移転登記手続を命じる判決」がこれにあたります。確認判決(「Bに所有権があると確認する判決」)では単独申請はできません。一見似ていますが、まったく別物です。


その他の注意点

注意1: 上記以外で単独申請が認められるケースとして、買戻特約に関する登記の抹消(契約日から10年経過後)があります。

注意2: 共有物分割禁止の定めの登記は、共有者であるすべての登記名義人が共同して申請しなければなりません。

注意3: 信託の登記の申請は、信託に係る権利の移転等の登記の申請と同時に行わなければなりません。


(3)申請の方法——口頭は絶対NG

登記は二重譲渡の優劣を左右するほど重要なものです。記録内容に誤りがあっては取り返しがつきません。そのため、口頭による申請は一切認められていません(例外なし)。

申請方法は次の2つのいずれかです。

方法内容
①オンライン申請電子情報処理組織(インターネット)を利用する方法
②書面申請書面または磁気ディスクを登記所に持参または郵送する方法

✅ 例題

登記の申請は、口頭によって行うことは絶対できない。

答え→ここをクリック

【解答】正しい。 口頭申請は、例外なく認められていません。


🎯 受験テクニック

問題文に「絶対」「常に」という言葉が出てきたら、ほぼ誤りと判断するのがセオリーです(「常に」は常に✕テクニック)。

ただし、このテクニックが通用しないケースも存在します。この口頭申請の問題は、まさにその稀な例外のひとつです。「絶対できない」という記述が正しい珍しいケースとして覚えておきましょう。


(4)登記申請の代理権——本人が死亡しても消えない

民法の原則では、委任による代理権は本人の死亡によって消滅します。

しかし、登記申請に関する委任代理権については特別な扱いとなっており、本人が死亡しても代理権は消滅しません。

これは、登記手続の安定性・継続性を確保するための例外的なルールです。


✅ 例題

登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によって消滅する。

答え→ここをクリック

【解答】誤り。 委任による登記申請の代理権は、本人が死亡しても消滅しません。民法の一般原則とは異なるルールが適用されます。


ここまでの重要ポイントまとめ

テーマポイント
登記の申請原則として当事者の申請が必要
職権でできる登記表示登記+一部の権利登記(管轄違い・職権更正)
職権でできない登記建物の分割・合併登記
申請方法オンラインまたは書面のみ。口頭は絶対NG
共同申請の原則登記権利者と登記義務者が共同で申請
単独申請の例外保存登記・相続・合併・収用・遺贈(相続人)・表示・判決(給付)など
代理権登記申請の委任代理権は、本人死亡後も消滅しない

3. 登記識別情報


(1)もし、自分の不動産が勝手に移転されたら?

あなたの自宅が、あなたの名義で登記されているとします。ところがある日、第三者が不正に書類を偽造し、勝手にその登記を移転してしまったとしたら——。

考えるだけでも恐ろしい話ですが、それを防ぐ仕組みが登記識別情報です。登記名義人(自分の名前で登記している人)を不正から守るための制度と理解してください。


(2)パスワードで守る仕組み

① 登記識別情報の通知

現在の登記はコンピューターシステムで処理されています。Aが土地の所有権保存登記を完了すると、登記官から登記識別情報が通知されます。これは数字とアルファベットを組み合わせた膨大なパターンのパスワードです。絶対に他人に知られてはいけません。

② 登記申請時に提供する

その後、AがこのをBに売却して所有権移転登記を申請する際、AはB とともに共同申請を行いますが、その際に自分の登記識別情報を登記所に提供しなければなりません。これにより、申請者が真の所有者本人であることが確認されます。

③ 新しい名義人にも通知される

所有権移転によりBが新たな登記名義人となると、登記官は今度はBに新しい登記識別情報を通知します。これが他人に漏れない限り、Bの登記が第三者に勝手に動かされることはありません。こうして登記名義人の権利が守られます。


(3)登記官も黙って見ていない

登記識別情報が提供されたとしても、それが盗まれた情報である可能性も否定できません。申請者が本人でない疑いを抱かせる相当な理由がある場合、登記官は申請人に対して出頭を求めたり、直接質問したりして本人確認の調査を行わなければなりません


(4)登記識別情報を提供できない場合

① 提供できないケースとは?

登記識別情報を紛失・失念したり、セキュリティ上の理由で「通知不要」を申し出た場合など、登記申請時に識別情報を提供できないことがあります。そのような場合には、別の方法で本人確認が行われます。

② 事前通知の仕組み

登記官が登記義務者に対して「このような登記申請が届いていますが、ご本人の意思に相違ありませんか?」と確認の通知を送ります(事前通知)。登記義務者が「間違いありません」と回答して初めて登記が進みます。回答がなければ登記はできません。

③ 所有権登記は念には念を

所有権に関する登記については、特に重要度が高いため、登記義務者が過去に住所変更登記をしている場合、変更前の旧住所にも通知を送らなければなりません。


(5)司法書士・弁護士・公証人が関与する場合

登記識別情報を提供できない場合でも、次のいずれかの条件を満たせば、(4)②の事前通知は不要となります。

条件内容
①専門家による証明司法書士または弁護士が登記申請を代理し、かつ登記名義人が本人であると確認・証明している場合
②公証人による認証公証人が登記名義人を本人と認証した場合

ただし、所有権登記における旧住所への通知((4)③)は、この場合でも引き続き必要です。


登記識別情報まとめ

ポイント内容
登記名義人になると登記官から登記識別情報が通知される
登記申請の際は登記識別情報を提供しなければならない
本人に疑いがある場合登記官が出頭要求・質問により調査
識別情報を提供できない場合事前通知(回答がないと登記不可)
所有権登記の場合旧住所にも通知が必要
専門家が関与する場合事前通知は不要(旧住所通知は必要)

注意! 登記識別情報が通知されるのは、その登記によって申請人自身が登記名義人となる場合に限られます。登記が完了した後、速やかに通知されます。


✅ 例題

所有権移転の登記を申請する際、登記権利者が登記識別情報の通知を希望しない旨の申出をした場合、登記識別情報は通知されない。

答え→ここをクリック

【解答】正しい。 申請人があらかじめ通知不要の申出をした場合、登記識別情報は通知されません。


(6)登記原因証明情報

権利に関する登記を申請する際には、申請情報と合わせて登記原因証明情報を提供しなければなりません(原則)。

登記原因証明情報とは、その登記が生じた原因となった法律行為と、それに伴う権利変動の事実を証明する情報のことです。例えば、売買を原因とする所有権移転登記を申請する場合は、売買契約書がこれにあたります。


4. 第三者の許可・承諾が必要なケース

ケース許可・承諾の要否理由
売買を原因とする農地の所有権移転登記必要(農業委員会・知事等の許可)農地法上、許可なしに契約の効力が生じないため
時効取得を原因とする農地の所有権移転登記不要時効の効力は農地法に優先し、無許可でも所有権移転の効力が生じるため
登記上の利害関係人(抵当権者)がいる土地の所有権登記の抹消必要(抵当権者の承諾)抵当権者が抵当権を失う不利益を受けるため
抵当権設定登記がある土地の分筆登記不要抵当権は分筆後の双方の土地に存続するため、抵当権者に不利益がないため

5. 仮登記(不登法第105条ほか)


仮登記ができるのはどんな場合か?

仮登記が認められるのは、次の2つの場面です。

場面具体例
①物権変動がまだ発生していない場合(請求権保全のための仮登記)宅建士試験合格を条件として土地を売買した場合
②物権変動は生じたが、登記申請に必要な情報が揃っていない場合売買は成立したが、登記識別情報が手元にない場合

仮登記を本登記に改めると、本登記の順位は仮登記のときの順位に遡ります。


(1)仮登記とはどんなものか?

仮登記とは、いわば「先に席を確保しておく」登記です。まだ本登記の要件が整っていない段階で、とりあえず順位だけを押さえておくための仕組みと考えましょう。

具体例

4月1日に、BがAから「宅建士試験に合格したら土地を売る」という条件付きで売買契約を締結したとします。まだ合格していない以上、所有権はAに残っているため所有権移転登記はできません。そこでBは仮登記をしておきます。

その後、5月1日にAが同じ土地をCに売却して所有権移転登記をすることも可能です。しかしその後Bが試験に合格し、仮登記を本登記に改めると、本登記の順位は4月1日の仮登記の日付に遡ります。結果として、5月1日登記のCよりBが優先されます——つまり土地はBのものになります。

これが仮登記の「順位保全効力」です。

⚠️ 注意! Bの仮登記が本登記に改められると、Cの登記は職権で抹消されます。そのため、Bが本登記を申請するには、不利益を受けるCの承諾を得ることが必要です。


(2)仮登記には対抗力がない

仮登記はあくまで「暫定的な登記」です。第三者への対抗力は本登記に改めた時点で初めて生じます。仮登記の段階では対抗力はありません。


✅ 例題

所有権移転請求権保全のための仮登記をした場合、本登記の順位は仮登記の順位による。

答え→ここをクリック

【解答】正しい。 これが仮登記の最大の効力(順位保全)です。


(3)単独で申請できるケース

ケース内容
仮登記の申請仮登記義務者の承諾がある場合、または裁判所の仮登記命令がある場合→仮登記権利者が単独で申請可能
仮登記の抹消仮登記名義人(B)が単独で申請可能。また、仮登記名義人の承諾があれば、登記上の利害関係人(AやC)も単独で申請可能

✅ 例題

仮登記は、仮登記義務者の承諾があるときは、仮登記権利者が単独で申請できる。

答え→ここをクリック

【解答】正しい。 登記申請は原則として共同申請ですが、仮登記に限っては、仮登記義務者の承諾があれば権利者が単独で申請できます。


仮登記まとめ

テーマポイント
仮登記ができる場面①物権変動未発生 ②必要情報が未整備
仮登記の効力対抗力なし/順位保全効力あり
本登記への変更本登記の順位=仮登記の順位
本登記申請時の注意不利益を受ける者(登記上の利害関係人)の承諾が必要
単独申請義務者の承諾または裁判所命令があれば可
仮登記の抹消仮登記名義人が単独で可。利害関係人は名義人の承諾があれば可

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