役所調査の進め方と実務ポイント

信頼される不動産取引のための役所調査

― 不動産営業1年目のための現場ガイド ―

目次

1. 役所調査は「事前準備」がすべて

不動産取引において役所調査は避けて通れない仕事です。
インターネットやオンライン登記情報で多くのことが分かる時代になりましたが、実際の現場ではネット情報だけでは足りない場面が必ずあります。理由はシンプルで、役所にはネットに載っていない最新情報や、正確な原本資料が保管されているからです。

さらに、ネット情報は更新タイミングや入力ミスの影響で間違っている可能性もゼロではありません。ですから、必ず役所で「裏取り」をする習慣を持ちましょう。

新人時代に特に大事なのは、「何を聞くか」を明確にしてから役所に行くことです。漠然と質問すると、担当者も答えにくく、必要な情報が漏れてしまいます。

おすすめの方法:

まずネット調査や現地調査を終えたら、重要事項説明書(重説)のたたき台を作る

分からない部分は空欄にしておく

その空欄を埋めるために役所へ行く

こうしておくと、質問が具体的になり、担当者も答えやすくなります。

また弊社のように物件調査シートがある場合は、重要事項説明書作成前にそれらを活用すると便利

物件調査シートに記載した内容をもとに重要事項説明書が作れるようになっています

2. 役所調査で大切な心構え

役所の職員は多くの不動産業者とのやり取りに慣れています。ほとんどの方は親切に教えてくれます、ただ自分の部署の範囲外のことは答えられないのが普通です。そのため、「この件はどの部署が管轄なのか」を把握することが重要です。

現場での心得:

第一印象を大事に:清潔な服装と丁寧な言葉遣い

事前にネット調査した資料等を持参:物件資料・登記簿・媒介契約書・委任状など

午前中か昼休み後すぐに訪問:混雑や対応の質低下を避けるため

3. 調査の主な流れと部署ごとの確認ポイント

役所調査は大きく「不明点の確認」と「取得した情報の裏付け」に分かれます。以下は主要な7項目と担当部署の目安です。

(1) 前面道路の種別と境界確認【道路課】

公道か私道か

道路幅員(m)

道路台帳現況平面図、境界図の写し取得
※ネットで取得できる場合は事前印刷して持参するとスムーズ。

(2) 建築・再建築の可否【建築課】

建築(再建築)可能かどうか

制限や条件の有無

位置指定道路図の有無と内容

中古の場合は建築概要書・台帳記載事項証明書の取得

(3) 用途地域・計画道路・区画整理【都市計画課/区画整理課】

用途地域の再確認(ネット情報との照合)

計画道路の有無、計画決定日、事業期間

区画整理事業の内容と換地・精算方法

(4) 宅地造成【開発課・土壌汚染【環境課】・文化財埋蔵【教育委員会】

開発許可・宅地造成許可の有無(物件が開発エリア内の宅地造成や開発許可について調べる場合)

近隣開発の状況(物件の近くに大規模な開発エリアがある場合)

土壌汚染の有無と対策書類の確認

文化財包蔵地該当の有無と建築時の手続き

(5) 評価証明・公課証明【固定資産税課】

評価証明(公課証明)の取得

委任状と媒介契約書、身分証を持参

登記簿で地番・家屋番号を漏れなく確認

(6) 上下水道・ライフライン【水道局/下水道局】

前面道路の配管有無・口径

敷地内引込管の口径

合流式か分流式かの確認

配管図や申請書のコピー取得

(7) ハザードマップ【総務課・防災課など】

洪水・土砂災害・津波等のリスク確認

無料配布の場合は必ず入手

ネット版があれば印刷して活用

4. 現場での会話テクニック

心理学的に、役所職員も「この人はちゃんと準備してきたな」と思えば丁寧に対応してくれます。
たとえば、

「この部分について他に注意すべきことはありますか?」と最後に聞く
→ 経験豊富な職員から追加情報がもらえることがある

資料や図面を一緒に見ながら質問する
→ 話が早く、誤解が減る

5. 時間帯・混雑の注意

昼休み中(12時前後)は避ける:対応できる人数が少なく、詳細説明がもらえない場合がある、特に建築関係の部署は11時30分〜13時までしっかりお昼休憩を取り、その間如何なる相談も受けない場所もありますので、事前に受付時間を確認すると無駄な時間を省くことができます。

午後遅い時間も避ける:同業他社が集中して混みやすい、特に金曜日は土日で契約を急ぐノルマがある会社の営業マンが多いイメージがあります

ベストは午前10時頃または13時〜14時台

6. 最後に

役所調査は一見地味な作業ですが、物件の安全性や契約リスクを守るための命綱です。新人のうちは、スピードよりも正確さを優先し、必ず先輩や上司に報告・相談しながら進めましょう。
現場経験を積むほど「聞くべきポイント」が整理され、効率的に調査ができるようになります。

役所調査チェックリスト(主要7項目)

訪問時にチェックする順番の一例(効率重視の動線)

項目部署名(例)確認内容完了
①道路道路課公道/私道、境界の有無、幅員、道路台帳現況平面図・境界図
②建築建築課建築・再建築可否、制限条件、位置指定道路図、建築概要書、検査済証
③都市計画都市計画課用途地域、計画道路の有無・事業期間、計画道路図
④区画整理区画整理課区画整理事業の内容、換地・精算方法
⑤宅地造成・土壌・文化財開発課/環境課/教育委員会宅地造成許可、土壌汚染の有無、文化財包蔵地該当の有無
⑥税務固定資産税課評価証明・公課証明の取得(委任状・媒介契約書必要)
⑦ライフライン水道局/下水道局上下水道配管有無・口径、雨水合流式/分流式、配管図取得
⑧防災防災課/総務課などハザードマップ取得(洪水・土砂災害・津波等)

訪問時の動き方(新人向け動線例)

  1. 総合受付で「この物件について確認したい項目があるのですが、それぞれの部署はどこですか?」と聞く
  2. 近い部署から回る(フロア移動が少なくなるよう順番を工夫)
  3. 各部署で資料コピーや閲覧が可能か確認(有料・無料の違いあり)
  4. メモは必ず「誰から」「いつ」「どう聞いたか」を記録
  5. 最後に受付で他に確認が必要な部署がないか再チェック

会話例(新人でも使えるフレーズ集)

初対面の挨拶

「お忙しいところ恐れ入ります。不動産会社の○○と申します。○○市○○町○番地の物件について、確認したいことがありまして伺いました。」

質問が不明確なときの補足

「こちらの重要事項説明書のドラフトで、空欄になっている部分の情報を確認したいのですが…」
(資料を見せながら)「この道路についての種別と幅員を教えていただけますか?」

情報をもらった後の追加質問

「ありがとうございます。ちなみに、この件に関連して他に注意すべき点や、見落としがちなことはありますか?」

他部署を案内してもらうとき

「この件はどちらの部署が詳しいでしょうか?できれば部署名と場所を教えていただけますか?」

資料コピーを依頼するとき

「こちらの資料はコピーをいただくことは可能でしょうか?有料の場合はお支払いします。」

ちょっとしたコツ

  • 役所は人によって説明の丁寧さが変わる
    → 混んでいない時間帯を狙うとベテラン担当者に当たる確率が高い
  • 事前に資料を持って行くと会話が早い
    → 「この地図のここが該当です」と指差しながら質問
  • 必ず復唱する
    → 「確認ですが、幅員は4.2mで、種別は公道で間違いないでしょうか?」

役所調査は「ただ情報をもらう作業」ではなく、契約リスクを未然に防ぐための重要なプロセスです。

特に新人のうちは、取得した情報を先輩や上司に共有し、「抜けや漏れがないか」を一緒に確認することを忘れないようにしましょう。

信頼される不動産取引のための役所調査

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