—— 高額帯が堅調、コンドミニアムは底堅く回復。売り手市場から“静かな調整局面”へ
2025年10月のオアフ島不動産マーケットは、前年に比べて大きな上下こそないものの、“市場の質”が確実に変化していることが見える月となりました。
私は普段からハワイ・オアフ島の不動産を専門にしていますが、今回のデータは「今のハワイ市場の空気感」を非常に正確に反映しています。特に、
①高価格帯の動きの強さ
②売り物件数がじわじわ増え始めていること
③成約スピードが明確に鈍化していること
この3つは、今後オアフ島での投資戦略を考える上で非常に重要なシグナルです。
この記事では、アメリカ本土とは違うハワイ特有の市場構造を踏まえながら、日本人投資家に向けて分かりやすく解説していきます。
一戸建ては「横ばい」、コンドミニアムは「ゆるやかな回復」
まず全体像からお伝えすると、
● 一戸建て:前年同月比で横ばい(261件)
● コンドミニアム:前年同月比 +9.4%(405→443件)
コンドミニアムは今年に入ってから地味に回復傾向が続いています。特に、2023〜2024年に停滞していた低価格帯~中価格帯の動きが戻りつつある点は注目です。
日本人投資家の多くは「価格が下がらないから買い時が分からない」と迷うケースが多いですが、数字を見る限り、マーケットは“落ちていないどころか、静かに底打ちして上昇に転じている”のが実態です。

成約スピードは大きく鈍化
以前のように、数日でオファーが殺到する状況は完全に終了しました。
● 一戸建て:中央値 26日(前年 16日)
● コンドミニアム:中央値 44日(前年 26日)
売り急ぐ必要のないホノルルの売主たちが“強気を維持しつつも様子見モード”に入っているのが特徴です。結果、条件交渉の余地が増えています。
これは日本人の買い手にとっては追い風で、
オファー交渉力が以前より強くなっている
と言えます。

価格はどうか? → 一戸建ては再び上昇、コンドミニアムは安定
▼ 一戸建て価格
- 中央値:$1,162,500(前年 +5.7%)
- 年初来中央値:$1,150,000(前年 +4.5%)
ホノルルの一戸建ては、一度下がった価格が2025年に入りまた戻り始めている状況です。特にイーストホノルル(カハラ・ハワイカイ周辺)では富裕層の取引が明確に増えています。
▼ コンドミニアム価格
- 中央値:$535,000(前年 +1.9%)
- 年初来中央値:前年と同水準($510,000)
こちらは非常に安定。
“急落を期待して待っていた人は、結果的に買えずに数年過ぎてしまった”という典型的な展開です。

注目すべきは「高価格帯の動きの強さ」
一戸建ては全体が横ばいでしたが、価格帯別に見ると大きな差が出ました。
● $700,000〜$999,999:前年 −18.9%
● $1.9M以上:前年 +38.7%(31件→43件)
ハワイ富裕層(主にアメリカ本土・カナダ)の購買力は依然として非常に強く、現金購入も多いのが特徴です。
そして興味深いのは、
高額帯でも約70%が「値下げ後」に成約している
という点。
つまり、売主は強気の価格設定をするものの、実際の成約価格は“適正値に調整されている”ということです。
買い手にとっては「割高に感じても交渉すれば通る」状況が続いています。

コンドミニアム市場は「両極化」が鮮明
▼ 低価格帯($299,999以下)→ +50%の大幅増
ここはローカル層の需要が中心で、価格下落というより“手が届く物件が増えた”と言えます。
▼ 高価格帯($700,000以上)→ +21%
ワードビレッジやカカアコ新築の影響が強く、投資・セカンドホーム層の需要が安定しています。
Kō‘ula、Victoria Place、The Park Ward、A‘ali‘i などの影響を考えると、この流れは2026年以降も継続しそうです。

売り物件がじわじわ増加中 → 市場は「買いやすく」なっている
・一戸建て:+3.7%
・コンドミニアム:+7.4%
特に一戸建ての $2,000,000以上の新規売り出しがほぼ倍増(43件→75件) しており、高額帯の在庫が増えています。
また地域別では、
- ハワイカイ:+51.7%
- カネオヘ:+20.3%
- マカキロ(コンド):+186.7%
- ワイパフ(コンド):+100%
と大きく在庫が増えており、買い手にとっては明らかに選択肢が増えました。
購入申込(ペンディング)は微増 → “動き始めた買い手”が見える
- 一戸建て:+4.0%(260件)
- コンドミニアム:+1.3%(323件)
金利が下がり始めた影響が少しずつ出ています。
とはいえ、2021〜2022年のような“熱狂相場”には戻っていません。
今のハワイ市場をどう捉えるべきか?
今回のデータを総合すると、
① 富裕層の買いは依然として強い
② 在庫増 → 過度な売り手市場は終了
③ 成約スピード鈍化 → 交渉余地が増えている
④ 価格は維持 or 緩やかに上昇**
この4つがキーポイントです。
特に私が注目しているのは、
「相場が崩れていないのに、交渉がしやすい」
という絶妙なバランスです。
日本人投資家にとっての「今」はどうか?
明確に結論を述べるなら、
“買う側に少しだけ追い風が吹いている時期”
と言えます。
理由は以下の通り:
- 在庫が増えてきている
- 売主の強気が弱まり始めている
- 金利が下がり始めている
- 日本円は2025年に入り底を打ちつつある
- ワード・カカアコは今後も安定した需要が見込める
- 価格は下がらず横ばい〜緩やかに上昇
特に 新築コンドミニアム(Kaliʻu・Victoria Place・The Launiu など) は、完成前後の価格差によるキャピタルゲインを狙いやすい局面です。
まとめ:2025年のハワイ市場は「静かに買い場が訪れている」
激しい動きはありませんが、
この“静かな調整局面”こそ投資家にとって重要なタイミングです。
市場が熱狂すると誰も買えず、
市場が不安定だと誰も動けない。
ちょうどその中間にあるのが2025年のホノルル不動産市場です。
今後も最新データを基に、プロの視点でわかりやすく解説していきますので、ハワイ不動産に興味のある方はぜひ情報を追い続けてみてください。
現地、Hnolulu Board of REALTORS の全レポートは以下のボダンよりご確認いただけます。


