会社を経営していると、売上や利益の管理と同じくらい重要なのが「保険料・税金の納付」です。
これは従業員を雇った瞬間から発生する義務であり、期日を守らなければ延滞税や加算金といった“罰金”が発生します。
経理や総務の担当者にとっても、この納付スケジュールを正しく理解していないと、資金繰りの計画が狂ってしまいます。
今回は、社会保険料・源泉所得税・住民税・納期の特例について、実務の流れを解説します。
1. 社会保険料の納付
対象: 健康保険、厚生年金保険、介護保険、子ども・子育て拠出金
社会保険料は従業員と会社が折半します。
給料計算の際に、従業員負担分を天引き(控除)し、会社負担分と合わせて翌月末までに納付します。
- 納付期限: 給与支給月の翌月末日
- 納付先: 年金事務所(口座振替か納付書で銀行払い)
- 納付書: 毎月中旬に「納入告知額・領収済額通知書」が送付される
例えば、7月分の給与から控除した社会保険料(従業員負担分)+会社負担分は、8月末までに納付します。
ポイント:
- 社会保険料は翌月納付なので、資金繰りを1か月分見越す必要あり。
- 雇用保険料はこの毎月納付に含まれず、年1回の労働保険申告(6〜7月)でまとめて納付します。
2. 源泉所得税の納付
給与や賞与を支払うとき、会社は所得税を従業員から天引きし、国に納めます。これを源泉徴収といいます。
- 納付期限: 給与を支払った月の翌月10日まで
- 納付先: 所轄税務署(銀行窓口で納付書払いが一般的)
- 必要書類: 「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」(納付書)
納付書には以下を記載します:
- 支払年月日
- 支払人数
- 支給総額
- 税額(源泉徴収した金額)
計上と支払いの流れ:
- 給与支給時に「預り金(源泉所得税)」として計上
- 翌月10日までに預り金を取り崩し、納付
注意点:
- 源泉所得税を納め忘れると不納付加算税(10%〜15%)がかかります。
- 銀行での納付のほか、e-Taxによるオンライン納付も可能。近年は電子納税が主流になりつつあります。
3. 特別徴収住民税の納付
住民税は前年の所得を基に計算され、毎年6月から翌年5月までの12回に分けて徴収します。
従業員が提出する「特別徴収切替届」に基づき、市区町村から会社に納付書が送られてきます。
- 納付期限: 給与を支払った月の翌月10日まで
- 納付先: 従業員の住所地の市区町村
- 納付方法: 銀行窓口、口座振替、または地方税共通納税システム(eLTAX)
ポイント:
- 従業員が退職する場合、残りの住民税を一括徴収するか、普通徴収(本人払い)へ切り替える手続きが必要。
- 会社としては源泉所得税と住民税を同じタイミングで納付するため、資金繰りに要注意。
弊社は月末の社会保険料納付に合わせて、源泉所得税と住民税の納付を実施しております。おそらく中小企業の多くは源泉徴収した税金の支払いを合わせて行っていると思います。
4. 納期の特例制度
経理総務の大きな負担は「毎月の納付作業」です。
そこで、従業員が常時10人未満の場合、「納期の特例」を申請すると半年ごとにまとめて納付できます。
- 申請書: 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」
- 提出先: 所轄税務署
- 承認されると:
- 1〜6月分 → 7月10日まで
- 7〜12月分 → 翌年1月20日まで
メリット:
- 納付事務が年2回で済む
- 毎月の銀行手続きや納付忘れのリスクが減る
デメリット:
- 半年分を一度に支払うため、その月の資金負担が大きくなる
- ボーナス月と重なるとキャッシュフローに影響
まとめ:納付カレンダーを作成しよう
保険料や税金の納付は、期日を1日でも過ぎると延滞税や加算金の対象になります。
一番大事なのは「スケジュール管理」です。
私が経営してきた中で、特におすすめなのが**「納付カレンダー」**を作ること。
エクセルでもクラウドのタスク管理ツールでもOKです。
各納付項目ごとに「対象月」「納付期限」「金額見込み」を入力し、毎月確認します。
資金繰りの観点では:
- 翌月10日までに必要な資金(源泉所得税+住民税)
- 翌月末までに必要な資金(社会保険料)
を常に把握しておくと安心です。
参考になる本としては、以下の書籍は図解も多くておすすめです。