営業の現場に立つと、必ず直面するのが「お客様をどう説得するか」という課題です。
しかし、多くの新人営業マンがやってしまいがちな失敗があります。
それは――「自分の正しさを押し付けてしまう」こと。
交渉は力比べではありません。お客様をねじ伏せるのではなく、「一緒に納得できる答えを探すこと」が本当のゴールです。
今回は、新人営業マンのために「正しさを押し付けない交渉術」をわかりやすく解説していきます。
説得できないのは「自分が正しい」という思い込みのせい
新人営業マンがよく陥るのが、
「自分の提案が一番正しい。だから説得しなければ!」
という考え方です。
確かに自分の提案に自信を持つことは大切です。ですが、その自信が強すぎると「お客様は間違っている」「こちらが正しい」という押し付けになってしまいます。
人は「自分の考えを否定された」と感じた瞬間、心を閉ざしてしまいます。心理学でいうリアクタンス効果が働き、押されれば押されるほど反発してしまうのです。
営業で「一生懸命説明したのに、全然伝わらなかった」という経験があるなら、それは「正しさを押し付けていた」サインかもしれません。
正解は一つじゃない!「自分も正しい、相手も正しい」と考える
交渉を成功させる大前提は、「正解は一つではない」という視点を持つことです。
営業の場面には、必ず「お客様なりの事情」や「相手なりの正しさ」が存在します。
自分の意見だけが正しいのではなく、「自分も正しいけれど、相手も正しい」と考えることができると、会話のスタンスが大きく変わります。
100対0でぶつかるのではなく、80対20の気持ちで「こちらの提案はこう思うけど、相手の考えにも耳を傾けよう」と臨む。
この余白があるだけで、相手は「話をちゃんと聞いてくれる人だ」と安心し、交渉はスムーズに進み始めます。
まずは「小さな合意」から積み重ねる
交渉のポイントは、最初から100%一致させる必要はないということです。
「自分の意見は90%正しいけど、相手の10%にも納得できる部分があるな」
このスタンスを持つだけで、お客様は「ちゃんと自分の意見を認めてくれた」と感じ、満足感を得ます。
その結果、10%の共通点が20%に、30%に…と広がっていくのです。
やがて70対30くらいまで歩み寄れれば、もう交渉は成功に近づいています。
大切なのは、部分的な合意を大事にすること。
最初は小さな共感から始まり、それを積み重ねることで信頼関係が築かれるのです。
交渉は「勝ち負け」ではなく「成長の場」
営業の交渉を「自分の意見を通す勝負」と考えると、相手を打ち負かすことに意識が行ってしまいます。
しかし、真の交渉は「相手と一緒により良い答えを探すこと」です。
自分の意見が変わることもあるし、相手の意見に学びがあることもあります。
それは決して負けではなく、あなた自身の成長の証です。
営業マンとしてのスキルは、こうした対話の経験を積むことで磨かれていきます。
まとめ:押し付けずに「一緒に答えを見つける」営業マンになろう
新人営業マンの心得として覚えておいてほしいのは次の4つです。
- 正しさを押し付けない
- 相手の意見の中にも正しさがあると認める
- 小さな合意を積み重ねる
- 交渉を「成長の場」と捉える
営業は「売り込む」仕事ではなく、**「お客様と一緒に最適な答えを見つける仕事」**です。
自分の正しさを一方的に主張するのではなく、相手の正しさを受け止める。
この姿勢を持つだけで、交渉の成果は大きく変わり、あなたの営業人生は確実に輝き始めます。