― 媒介契約後の初動と情報管理の基本 ―
1|媒介契約締結後のスタート:販売活動の準備
媒介契約書が締結できたら、いよいよ販売活動を開始します。
最初に行うべきは、「販売図面(マイソク)」の作成です。
余談ですが、不動産業界で活躍する40代後半以上の方はマイソクという方が多いです。ちなみにマイソクという言葉の語源は昭和44年から元付業者(売主さんから媒介契約を結んだ会社)から依頼を受け不動産情報を記載した図面を他の不動産仲介会社に配布していた毎日速報センター(現株式会社マイソク)から来ています。20代30代の不動産営業マンの方は想像ができないかもしれませんが、昔の不動産情報は紙ベースが当たり前でした。インターネットがありませんでしたからね。私が新卒で入社した20数年前はアットホームさんから分厚いB4サイズの販売図面の束が会社に届き、それをエリアや種別に合わせて整理するのが、新入社員の役目でもありました。もちろん私が入社した頃にはインターネットやメールも使えたし、レインズもありましたのでWEBで物件を確認することもできましたが、販売図面をレインズに掲載しているところは今と違いかなり少なかったです。なのでアットホームさんからくる紙ベースの情報は重宝されました。
2|販売図面の基本構成
販売図面は、物件の魅力を正確に伝えるための「営業ツール」です。
以下のような情報を記載します。
【基本情報(居住用)】
- 物件名
- 販売価格
- 最寄駅と徒歩分数
- 所在地
- 土地面積・建物面積
- 間取り・築年数・構造
- 設備・現況・引渡し時期
【投資用物件の場合はさらに追加】
- 満室想定年間収入
- 表面利回り
- 現在の賃貸状況(空室/満室など)
【ビジュアル要素】
- 外観・室内の写真
- 間取り図
- 物件所在地の地図
▶ 自社テンプレートを活用してください。弊社ではかなりデザインと言葉の表現にこだわり作成します。
3|販売図面作成のポイント
調査が必要な項目
以下は調査が必要となる重要項目です。
販売図面を作成しながら重要事項説明書にも使える情報なので、同時に調査しておくと効率的です。価格の査定の段階で物件のある程度の調査はなされていますが、媒介契約書を取得したらすぐに全調査を実施しておくと良いでしょう。
項目 | 調査方法 |
---|---|
建ぺい率・容積率 | 登記簿や役所調査 |
接道(幅員・間口) | 公図・地積測量図 |
用途地域 | 役所調査 or 既存資料 |
※売主から過去の重要事項説明書や建築図面を借りられれば、当面はその内容を転記しても構いません。
間取り図作成について
- 売主から間取り図をもらえるか確認。
- もらえない場合は、建物図面(法務局)+現地写真+ヒアリングから作成。
- 作成ツールは、Excel/Word/PowerPoint/Keynoteや、無料のフリーソフトでもOK。
- 例:「不動産 間取り図作成 フリー」で検索。
中古戸建ての場合で、所有者が何度か変更となっていると売主さんが図面をお持ちでない場合もあります。その際は法務局に登録されている建物図面を基に、現地でのメモ、現地内観写真を使って作成します。日本の一般的な住宅は、「910mm=3尺」とする「尺モジュール」が使われており、図面を作成する際は910mm×910mmを1マスとして作成すると良いでしょう。慣れると意外と簡単に作成できます。
4|並行して準備しておくべき書類
【登記事項関連】
法務局から以下の書類を取得します。
- 全部事項証明書(登記簿謄本)
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面
- 接道している前面道路の土地全部事項※私道がある場合 → 私道部分の全部事項証明書も
- 隣地の要約書
【投資用物件なら必須】
▶ レントロール(家賃一覧表)
- 各部屋の家賃、敷金、礼金などをExcel等で一覧表に。
- 売主から賃貸借契約書を預かって情報を転記。
- 問い合わせ時にすぐ送れるよう、PDFで保存・共有フォルダに格納。
5|レインズ(REINS)登録と物件公開
レインズ登録について
媒介契約の種類(専任/専属専任)に応じて、レインズへの登録が必要です。
【当社の場合】
- 全宅加盟店 → ハトサポBBから物件登録を行います。
- ハトサポBBから登録すれば → 全宅会員へ物件公開 + レインズ連携 + 各ポータルサイトへ連動
レインズ登録後にやるべきこと
- 登録後は必ず登録証明書をダウンロード・保存 登録証明書は売主さんにお渡ししましょう。そこに記載されているQRコードで登録状況が確認できます。
※再発行不可なので注意! - 販売図面を必ずアップロード
→ 問い合わせ対応のためにも必須。業者さんから電話での販売図面取得の問い合わせを削減できます。 - レントロールは登録できない
→ メールで送れるよう準備しておく。レントロールだけでなく、その他調査資料も合わせて送れると業者さんからも喜ばれます。調査書類はスキャンし社内共有フォルダに保存しておくとメール送付の際に便利です。
6|問い合わせ対応のコツと注意点
【よくある問い合わせ内容】
- 広告掲載の可否(レインズに掲載OKか)
- レントロールの有無(投資用物件の場合)
- 内見希望(物件待ちのお客様がいる業者など)
【スムーズな対応のための準備】
- 販売図面は必ずPDF化し、共有フォルダに格納
- 登記簿や公図、建物図面などの調査書類もPDF化して保存
- レントロールもPDFで準備しておく
- 問い合わせが来たら、担当者のメールアドレス宛に資料を送付
7|メールでのやり取りを推奨する理由
- 記録が残る(どの業者とどんなやり取りをしたか追える)
- 後から価格変更時に、再アプローチが可能
- 電話・FAXは情報の抜け漏れが発生しやすい
▶ 例外的な対応も大切に
- 地元の老舗不動産会社など、FAXや電話を好む業者も存在します。
- 効率やタイパを重視するのではなく、相手の好むやり方で柔軟に対応しましょう。
- 地主や古い顧客を抱えているケースが多く、営業先としても非常に重要です。老舗不動産会社の方に可愛がってもらえるよう努めましょう。
まとめ|媒介契約後のフローと準備物一覧
ステップ | 実施内容 | 備考 |
---|---|---|
1 | 販売図面の作成 | 写真・間取図・物件情報など |
2 | 調査書類の収集 | 登記簿、公図、測量図など |
3 | レントロール作成 | 投資用物件の場合は必須 |
4 | レインズ登録(ハトサポBB) | 専任・専属専任は必須 |
5 | 問い合わせ対応準備 | 販売図面・資料のPDF化 |
6 | 各業者への対応 | 原則メール/一部電話・FAX対応 |
これで自分がお預かりした媒介物件の販売準備が整いました。実際にご案内依頼が入った際のフローとポイントを次の記事で解説します。下のボタンをクリックしてご確認ください。
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