今日は、2025年9月2日に発表された不動産業界の重要なニュースを取り上げます。
「SUUMO」物件ライブラリーにマンション管理適正評価制度の管理評価が掲載開始!
これは、業界にとって非常に大きな一歩です。なぜなら、これまでブラックボックス化していた「マンションの管理状態」が、購入検討段階で誰でも簡単に確認できるようになるからです。
これまでの課題:「管理状態は最後までわからない」
マンション購入を検討したことがある方ならご存じかもしれませんが、これまでは「管理の良し悪し」が分かるのは、契約直前か引き渡し後でした。重要事項説明書や管理規約を確認するのは最後の段階であり、初期の比較検討では“立地”と“価格”が大半を占め、管理の質はほとんど考慮されないのが現実だったのです。
その結果、購入後に「修繕積立金が足りない」「管理組合が機能していない」などの問題に直面するケースも少なくありませんでした。
新制度の意義:「評価の見える化」で何が変わる?
今回、SUUMOに掲載されるのは、「マンション管理適正評価制度」に基づく評価です。この制度は、マンション管理業協会が2022年に始めた全国共通の基準で、管理業務主任者やマンション管理士といった有資格者が、管理状態や組合運営を6段階で評価します。
つまり、専門家による“お墨付き”を簡単に確認できる仕組みです。これにより、以下のメリットが生まれます。
- 購入検討の初期段階から管理状態を把握できる
- 評価基準が全国共通なので、地域差なく比較可能
- 価格や市場価値への反映が進む
管理が良いマンションは価格も上がる?データが示すプレミアム効果
注目すべきは、管理の質と価格の関係です。横浜市立大学のシンポジウムで発表された調査結果によると、総合評価が★5のマンションは約11%の価格プレミアムがあることが確認されています。
これは非常に大きな意味を持ちます。従来、不動産の価格は「立地・築年数・広さ」でほぼ決まるとされてきました。しかし、これからは管理状態という“目に見えなかった要素”が市場価値を左右する時代になる可能性があります。
心理学の視点から考える:なぜ“見える化”は購買行動を変えるのか?
ここで少し心理学的な視点を加えてみましょう。
人間は、不確実性を嫌います。大きな買い物である住宅購入において、「管理状態」という見えないリスクは、購入者にとって大きな不安要素でした。そのため、評価が★という形で明確に可視化されることは、安心感をもたらし、意思決定をスムーズにします。
さらに、この評価制度は“社会的証明”の効果を生みます。評価が高いマンションは「他人にとっても良い物件だ」と感じられ、購入意欲を高めるのです。これはマーケティングの世界でよく知られている行動原理です。
市場への影響:今後どうなる?
ここで、不動産業者としての視点を共有します。
- 中古マンション市場での差別化要因になる
新築マンションはブランド力や最新設備で評価されがちですが、中古市場では“管理の質”が重要な価値判断軸になります。今後、評価の高い中古マンションは、より高値で売却できる可能性が高まります。 - 管理組合の意識改革が進む
「管理評価が公開される」ことで、管理組合にもプレッシャーがかかります。適切な修繕計画や運営を行わなければ、★が低くなり、将来的に資産価値に影響します。この“見られている”仕組みが、良い管理を促進するのです。 - 不動産仲介業者の役割が変わる
これまで仲介業者は、管理の善し悪しを主観で説明するしかありませんでした。しかし、今後は「第三者評価」という客観的データを活用して、より透明性の高い提案ができます。これは、業界全体の信頼性向上につながります。
結論:「管理の時代」が来た
マンションは、購入した瞬間から“管理との付き合い”が始まります。どんなに立地が良くても、管理がずさんなら資産価値は下がり、住み心地も悪くなります。逆に、しっかりと管理されていれば、築年数が経っても価値を維持できる。
これからのマンション市場では、「管理の見える化」が当たり前になるでしょう。今回のSUUMOへの掲載は、その大きな第一歩です。購入を検討する方は、ぜひ★評価を確認してください。そして、マンションを所有している方は、管理組合の活動を見直すチャンスです。
不動産の価値は「管理」で決まる。これが、これからの常識になっていくはずです。
まとめポイント
- SUUMOにマンション管理評価が掲載開始
- ★6段階で管理の質を見える化
- 高評価マンションは価格プレミアムが11%
- 不動産市場の透明性と管理意識が高まる
- 資産価値を守るカギは「管理」
出典:一般社団法人 マンション管理業協会 https://www.kanrikyo.or.jp/news/data/20250902presschousa.pdf