今回は、話題の海辺ラグジュアリーホテルブランド「UMITO」が発表した大型資金調達のニュースを取り上げます。単なるホテルのニュースではなく、これは日本の新しいライフスタイル産業の可能性を示す、非常に示唆に富んだ動きだと感じています。
UMITOとは何者か?――「所有する非日常」という発想の転換
まず、UMITOというブランドを知らない方のために簡単に説明します。
UMITOは「海と共に過ごす別邸」をコンセプトに、海辺のホテルをシェアで所有できるという新しい仕組みを提案している会社です。2021年に販売をスタートし、沖縄、鎌倉、熱海、宮古島、奄美大島、さらにはハワイまで展開しています。弊社はハワイ不動産を扱っているので、現地のリッツカールトンを購入した時のニュースは驚きでした。運用ルールが非常に厳しいハワイの不動産をシェアで所有できるようしたのは、代表の堀鉄平氏のこれまでの実績と人脈、そして弁護士である御本人の交渉力の賜物だと思います。
ここで私が面白いと感じたのはビジネスモデルの哲学的な問いかけです。
「憧れの場所に何度も行く人」と「その場所に”自分の場所”を持つ人」では、体験の質がまったく異なります。哲学的に言えば、前者は「訪問者(guest)」であり、後者は「帰属者(belonging)」。UMITOはその心理的な差異を巧みにビジネスに昇華させています。
今回の資金調達、数字の読み方
今回のポイントを整理しましょう。
- 今回の調達額:約24億円
- 累計調達額:約182億円
- 主な引受先:JAL、Plan・Do・See、Hongo Holdings(辻・本郷グループ)
- 金融スキーム:モルガン・スタンレーMUFG証券等による各種スキームを活用
累計182億円という数字は、スタートアップとしては相当な規模です。これだけの資金を集め続けられているということは、投資家・事業パートナーからの信頼が継続的に積み上がっていることを意味します。辻・本郷グループは全国に顧客を持っており、経営者を顧客としています。本社ビルではその経営者に向けて定期的にセミナーを開催しており、何度かセミナーに登壇させていただいた実としては、辻・本郷グループの顧客へのシナジーも見込まれるを私は感じております。
「誰と組むか」が語るUMITOの戦略
注目の引受先のラインナップ
JAL(日本航空)との提携
これは非常に賢い一手です。JALの顧客、特にマイレージ上位会員層は、まさにUMITOのターゲットと重なります。富裕層・旅行好き・非日常体験への投資を惜しまない層です。
顧客基盤の相互活用と施設稼働率の向上を目指すとのことですが、平たく言えば「JALのお客様をUMITOに、UMITOのオーナーをJALで」という好循環を狙っているわけです。
Plan・Do・See との提携
ウェディング・レストラン・ホテル運営で知られるPlan・Do・Seeは、「体験の質」のプロ集団です。施設価値の向上や商品企画での連携とありますが、これはUMITOの弱点を補強する動きとも読めます。物件を開発・取得するのが得意なUMITOと、運営・ホスピタリティに強いPlan・Do・Seeの補完関係は理にかなっています。
Hongo Holdings(辻・本郷グループ)
税理士法人系の知見を持つグループとの連携は、シェア購入型という複雑な商品設計における法的・税務的な信頼性の担保に直結します。顧客が「購入して大丈夫か」と感じる安心感を、プロフェッショナルの体制で支えるということです。また、すでに述べましたが彼らの顧客網が今回のUMITOの商品の顧客となりうることも注目です。
不動産会社としての視点:このモデルの強みとリスク
正直に申し上げると、このビジネスモデルには光と影の両面があります。
強み
マーケットの希少性です。「海辺の物件をシェアで所有する」という選択肢はまだ市場に少なく、先行者優位が働きやすい。また、物件が増えるほどブランド価値も上がるというネットワーク効果的な側面もあります。
注意すべき点
シェア購入型のビジネスは、購入者の満足度維持が命綱です。稼働率が下がったり、サービス品質が落ちると、口コミで一気に逆風が吹く可能性があります。今回の調達資金の使途に「顧客満足度の向上を目指した運営体制の拡充」が含まれているのは、そのリスクをUMITO自身が十分認識しているからでしょう。
拡大フェーズにおいていかに品質を落とさず規模を広げるか――これが経営の肝です。
グローバル展開という次の夢
今回の資金調達では、海外物件の取得も明示されています。ハワイはすでに展開中で、アジアの富裕層を取り込む視点も含めると、「日本発のラグジュアリーライフスタイルブランド」としての世界展開は十分に現実的なシナリオです。
ブランドとは物語です。「海と共に過ごす別邸」という物語が世界でどこまで響くか、注目していきたいと思います。
まとめ:UMITOが示す「体験所有」時代の到来
今回のニュースが示しているのは、単なる資金調達の成功ではありません。
モノを「所有する」から「体験を所有する」へという価値観のシフトが、着実にビジネスとして成立し始めているという事実です。そして、JALのような大企業がこの流れに乗った、という事実は業界全体への強いシグナルにもなります。
これからの時代、「どこに住むか」だけでなく「どこに”もう一つの自分の場所”を持つか」が、豊かさの指標になっていくかもしれません。
UMITOのこれからの展開から、引き続き目が離せません。私もUMITOさんの顧客になれるように、頑張ります。
出典:株式会社UMITO https://corp.umito.jp/fundraising-260501/

