東急リバブルが初の年間トップ!2025年度不動産仲介市場を読み解く【業界激変の真相】

不動産市場が大きく動いています。

2025年度の不動産仲介実績調査(不動産流通研究所)が公表され、業界に衝撃が走りました。長年のトップ争いに、ひとつの「答え」が出たからです。


東急リバブルが悲願の初トップ——何が勝因だったのか

今回の調査で最も注目すべきは、東急リバブルが初めて通期業績で業界トップに立ち、手数料収入が初の1,000億円超えを達成したという事実です。

その要因は明快です。

積極的な店舗出店による取扱件数の拡大と、市場全体の価格上昇による単価アップという二つのベクトルが重なりました。手数料収入の伸びは前期比12%増という大幅なものになりました。

ここには経営戦略の教科書のような話があります。「量」と「単価」を同時に伸ばすことは難しい。多くの企業が片方を取って片方を犠牲にする中、東急リバブルは出店戦略によって件数を守りながら、市場の波に乗って単価も上げることに成功しました。


各社の生き残り戦略——対照的な二つのアプローチ

今回の調査で興味深いのは、好業績を上げた企業の戦略が真逆であったことです。

三井不動産リアルティグループは、店舗の統廃合を進め、高単価エリアへの人的資源の集中を選びました。取扱件数は減少したが、全エリアで平均単価が上昇し、過去最高の手数料収入を記録しています。

一方、東急リバブルは出店拡大で件数を増やす道を選んびました。

どちらが正しいかという議論はあまり意味がないと思います。市場環境と自社のリソース、ブランドポジションによって最適解は異なります。重要なのは、「自社の強みはどこにあるか」を明確にした上で、一貫して実行し切ることです。不動産会社を経営する私の視点から言えば、戦略の優劣より、実行の精度と速度が勝敗を分けることが多いと感じまてます。


市場全体を俯瞰する——「上昇」の裏に潜む変化

調査に回答した20社のうち17社が手数料収入を増加させ、そのうち7社が2桁増という結果は、市場の活況を如実に示しています。

背景にあるのは既存住宅市場への需要流入の加速です。新築マンションの供給が減少し価格が高騰する中、消費者の目が中古市場へと向きました。東日本レインズのデータによれば、首都圏の既存マンション単価は23四半期連続で上昇しています。約5年半、一度も下がっていないという事実は驚くべきことです。

しかし——ここが重要なのだが——このトレンドが永続するという前提に立つのは危険です。


「選別」と「郊外シフト」——次の波はすでに来ている

業界関係者の声に、非常に示唆に富むものがあります。

東急リバブルは、湾岸エリアの一部で「売り相談が多く、買い相談が減ってきた」という変化を認識しています。価格上昇についていけないユーザーが増え、同じエリアのマンションでも”何らかの特徴”がなければ関心を引けないという状況になりつつあるというものです。

これはマーケティングの文脈で言えば、市場が「マス」から「セグメント」へ移行しているサインです。ブームの時期は、何を売っても売れます。しかし市場が成熟し始めると、差別化のない商品は急速に選ばれなくなります。

もう一つの変化は郊外シフトです。都心価格の高騰を受け、東急リバブルの都下店舗や、京王不動産の多摩・調布エリアで需要の回復傾向が見られるといいます。これは投資家視点でも生活者視点でも、次の注目エリアを示唆するデータとして無視できません。


ホールセール市場——金利上昇が生む「慎重さ」と「活発さ」の共存

法人・投資家向けのホールセール市場も興味深い動きを見せています。

金利上昇によって慎重姿勢を示す顧客は増えているものの、アクティビスト対策として企業が保有不動産を放出する動きが市場に流動性をもたらしています。ホテルや商業施設といったインフレへの対応力が高いアセットに人気が集まっているのも、時代を反映した現象です。

東急リバブルや三菱地所グループが大型案件の取り込みで手数料収入を伸ばしたのも、こうした市場の変化をいち早く読んでいたからに他なりません。


まとめ——「上昇相場の終わり」ではなく「市場の質的変化」の始まり

今回の調査結果から読み取れる本質は、単純な「好景気」ではありません。

  • 量より質、件数より単価
  • 画一的な需要から選別的な需要へ
  • 都心一極集中から郊外・準郊外への分散

これらは不動産市場だけでなく、あらゆるビジネスにおける「成熟市場のサイン」です。

上昇相場はいつか終わります。しかし変化を先読みした企業と個人だけが、その後も勝ち続けます。東急リバブルの「初のトップ」という結果は、単なる順位の話ではなく、変化への対応力が評価されたという意味で、非常に示唆深い出来事だと私は見ています。

不動産市場の動向は、日本経済の体温計だと言われています。引き続き注視していきたいです。


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出典:不動産流通研究所 https://www.re-port.net/article/news/0000081884/

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