東急リバブルが初の首位に―2025年度上期「仲介実績」から読み解く不動産市場の行方

〜都心高騰・郊外シフト・富裕層マネー…3つの潮流をどう捉えるか〜

2025年度上期の不動産仲介実績で、東急リバブルが初のトップに立ったというニュースが発表されました。
不動産流通研究所の調査によるこのランキングは、毎年業界の動きを端的に示す“指標”ともいえるものです。

今回は、このニュースを「経営」「マーケティング」「顧客心理」「不動産市場分析」の4つの視点から丁寧に読み解きながら、これからの市場がどこへ向かうのか、そして私たち不動産に関わる人間は何を見ておくべきなのかを整理していきます。


目次

東急リバブルが初のトップに立った理由

ニュースの要点を整理すると、リバブル躍進の背景には以下の要素があります。

① 個人仲介での生産性向上

・積極的な店舗展開
・成約件数の増
・店舗オペレーションの効率化

“店舗数を増やしているのに生産性も上がる”というのは、実はなかなか難しいことです。
これは、デジタル活用やオペレーション改善が同時に進んでいる証拠だといえます。

② 法人仲介での高額案件の増加

・10億円以上の案件が増えた
・ファンドや事業者の投資意欲が旺盛

物件単価の高い法人仲介は、少数の成約でも収益インパクトが大きい領域。
この部分の成長は、リバブルが“個人 × 法人”の両輪をバランスよく伸ばした結果です。


三井不動産リアルティは「取扱件数減でも収益増」

三井リアルは店舗再編により取扱件数が減ったものの、

  • 都心中心に単価が大幅上昇
  • 営業の集中と効率化

によって、手数料収入は増加。

これは“少数精鋭の戦い方”がうまく機能したモデルであり、
高額帯のマーケットでは「件数よりも質」が重要であることを示しています。


住友不動産ステップ、野村不動産も好調

● 住友ステップ

都心店舗への集約 → スタッフ再配置 → 効率化
まさに「組織のスリム化で収益改善」を体現した形。

● 野村不動産ソリューションズ

富裕層の投資・資産組み換えニーズの拡大が追い風。
件数は微減でも取扱高・手数料収入は大幅増。

都市部の高級不動産市場が依然として強いことがうかがえます。


“実需は動かないが富裕層が動く”という構造は今後も続く

今回の調査で見えてきた最大のキーワードは、

「実需は鈍化、富裕層と投資家は加速」

という二極化です。

● 実需(一般ユーザー)が鈍い理由

・都心マンション価格の上昇が止まらない
・金利上昇の心理的影響
・リスク回避思考の強まり

価格が高すぎて、動きたくても動けない状況です。

● 逆に富裕層が動く理由

・資産インフレ対策として不動産が強い
・投資対象としてホテル・商業が評価される
・“不動産は持っていないと値上がりに置いていかれる”という心理が働く

特に法人仲介では、

  • ホテル
  • レジデンス
  • 都心商業物件

への投資が継続的に強く、関西・九州にも資金が流れています。


郊外エリアの強さと“一服感”というサイン

今回目立つのが、郊外に強い企業(ポラス、小田急、京王不動産)が件数を伸ばしたという点です。

  • 低価格帯の動きが活発
  • 価格高騰により都心から郊外へ検討エリアが広がる
  • 第1四半期は売却相談 → 第2四半期は購入相談が増加

これは、

「住まいは欲しい、でも都心は高すぎる」

というユーザー心理の結果です。

ただし、郊外の一部では価格調整が始まっているという声もあり、
市場としては“踊り場”に差し掛かっているようにも感じます。


不動産市場を俯瞰すると見えてくる「3つの潮流」

今回のニュースを総合すると、不動産市場は大きく次の3つの方向性を示しています。


【潮流①】

富裕層・投資家の「高額物件偏重化」

ホテル、商業、10億超の案件など、
“高額帯の取引が市場全体を支えている”という構造。

富裕層の動きがマーケットを牽引しているのは間違いありません。


【潮流②】

都心高騰 → 郊外シフト

ただし、郊外も一律に上がるのではなく、
“人気エリアだけが上がる”という選別が進んでいます。

不動産は全体で見ても、もはや「一色」ではありません。


【潮流③】

法人仲介の存在感がより大きくなる

ファンドや事業者の投資は止まらず、
これが仲介会社の収益を押し上げています。

これからの仲介会社は、

  • 個人仲介
  • 法人仲介

の両方で戦える総合力が求められる時代に入っています。


結論

今回のランキングで東急リバブルが初のトップに立った背景には、
単なる景気の良さではなく、

  • 組織戦略
  • オペレーション改革
  • 市場を読む力

という「企業の地力」があります。

そして、不動産市場全体についてはこう言えるでしょう。


不動産市場は今、“二極化した活況期”にある。

  • 実需は鈍い
  • 富裕層・投資家は活発
  • 都心は高騰
  • 郊外は選別される
  • 法人仲介は堅調

活況なのか停滞なのか、一言では表現できない「複雑な時代」です。

だからこそ今、不動産に関わる私たちが見るべきは、

● 数字の表面ではなく、“その裏にある人の心理”

● 地域全体ではなく、“エリアごとの微細な変化”

● 件数ではなく、“単価と質の変化”

こうした視点を持つことではないでしょうか。

今後も、このカテゴリーではニュースを多角的に読み解きながら、
読者の皆さんが一歩先を見通せるような分析を続けていきます。

出店:不動産流通研究所 https://www.re-port.net/article/news/0000080376/

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次