2025年10月1日、群馬県みどり市の近藤酒造とオープンハウスグループが共同開発した日本酒リキュール「Shu Shu Shu Shu(シュ シュ シュ シュ)」が再販されます。昨年300セットが即完売し、今年は400セットに増産。群馬県産の米・酵母・梅・柚子・ブルーベリーを使った“群馬成分100%”の商品として注目を集めています。
本記事では、このニュースを「地域活性化」「企業の役割」「消費者心理」の3つの視点から解説します。
1. 地域の資源を「商品化」する力
「Shu Shu Shu Shu」が特徴的なのは、ただの日本酒リキュールではなく、群馬の魅力をまるごと詰め込んだ“地域ブランド商品”である点です。
- 米:群馬県みどり市産の「五百万石」
- 酵母:群馬県が開発した県酵母
- 果実:高崎市の梅、渋川市・安中市の柚子、みどり市のブルーベリー
ここには、単なるお酒づくり以上の意味があります。つまり「地域資源をブランド化し、商品に落とし込む」試みです。
近年、地方創生の現場でよく聞かれる課題は「地域の良いものはあるけれど、外に知られていない」という点です。観光資源や農産物は豊富にあっても、消費者の目に届かないことが多い。その壁を乗り越える一つの答えが、こうした「ギフト向け商品」だといえます。
2. 大手企業オープンハウスの関わり方
注目すべきは、住宅事業を中心とする大手・オープンハウスグループが、このプロジェクトに深く関わっていることです。
同社は戸建てやマンション販売で知られていますが、近年は「地域共創」というテーマで、地方再生プロジェクトを推進しています。水上温泉街の再生や高校跡地活用など、不動産に限らない事業も展開中です。
一見すると「不動産会社が日本酒に?」と不思議に思う方もいるかもしれません。しかし、ここに企業の新しい在り方が見えます。
- 住まいを売る企業 → 地域の価値を高める企業 へ
- 物件の販売 → 地域文化や産業との共創 へ
人口減少が進む地方で家を売るためには、その土地自体に魅力がなければならない。だからこそ「お酒」「観光」「スポーツ」などの文化事業に積極的に関与するわけです。
これは単なるCSR(社会貢献活動)ではなく、地域経済の循環を作る「戦略的共創」と言えるでしょう。
3. 消費者心理と「Shu Shu Shu Shu」のヒット要因
昨年の300セット完売という実績から見えるのは、現代の消費者心理です。
①「ストーリー消費」
人はモノそのものではなく、その背景にある「物語」に惹かれます。
「群馬の米・酵母・果実を使った」という説明は、単なる飲み物を「群馬を味わう体験」に変えています。
②「ギフト需要」
プレスリリースでも「ギフトや手土産に最適」と紹介されています。
実際、専用紙袋の用意は消費者の声を反映した改善であり、ここに再販の強さがあります。自分用ではなく「誰かに贈りたい」と思わせる商品は、不況下でも一定の需要があります。
③「日本酒のハードルを下げる」
従来、日本酒は「難しい」「クセが強い」と感じる人も少なくありません。そこで果実リキュールに仕上げることで、日本酒初心者や若い世代にも入りやすくしています。心理的な“飲みやすさのデザイン”が光ります。
4. 「地域共創」の未来を考える
私はこのニュースから「地域共創ビジネスの未来像」を強く感じました。
- 地元酒蔵の技術 × 全国展開企業の発信力
- 伝統産業の魅力 × 現代的な消費者ニーズ
この掛け算こそが、人口減少・地方衰退という社会課題を超える突破口になります。
地方には、まだ知られていない「宝物」が数多く眠っています。しかし、それを掘り起こし、形にし、発信するには「外の力」との連携が必要です。今回の「Shu Shu Shu Shu」は、その好例といえるでしょう。
5. まとめ:ニュースの先にある可能性
「Shu Shu Shu Shu」の再販は、単なるお酒のニュースにとどまりません。
- 地域資源をどう価値化するか
- 大手企業がどう地域と関わるか
- 消費者がどんな心理で商品を選ぶか
この三つを考えるきっかけを私たちに与えてくれます。
そして何より、この商品をきっかけに「群馬に行ってみたい」「地元の文化を知りたい」と思う人が増えれば、それは大きな地域活性化の第一歩になるでしょう。
私は経営者として、またマーケッターとして、この取り組みを「地方と都市をつなぐ新しいビジネスモデル」として高く評価したいと思います。
最後に
もしこの記事を読んで「Shu Shu Shu Shu」を手に取った方がいれば、それは単なる1本のお酒ではなく、群馬の自然や人の思いを味わう体験になるはずです。
地方の挑戦を応援するために、私たち一人ひとりが「選んで飲む」「贈って広める」こと。それが地域経済を支える大きな力になるのだと思います。

出店:PRTIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000815.000024241.html