「日本不動産エージェント協会」設立は業界変革の第一歩か?

― 真のクライアントファーストとテック共創が不動産仲介をどう変えるのか

2025年11月21日、株式会社TERASSが発起人となり「日本不動産エージェント協会」が設立されました。
業界歴25年の私から見ても、今回の動きは“単なる業界団体の新設”では片付けられません。むしろ、不動産仲介の根深い課題に切り込む「静かだけど大きな変化のスタート」に見えます。

今回は、このニュースを クライアントファーストエージェント倫理テクノロジー共創 の観点から読み解きつつ、私自身の現場感覚も含めて解説します。


目次

不動産仲介の「構造的な問題」がいよいよ表面化した

今回の協会設立の背景として、ニュース内で明言されているのが次の点です。

  • 不動産価格・建築費の高騰
  • 中古住宅流通市場の拡大
  • 相談件数は年3,500件超と“高止まり”

実際、現場でも「ちゃんと説明してくれなかった」「売り急かされた」「担当者の都合で判断が左右された」という声は珍しくありません。

これは“担当者個人の問題”ではなく、長年続いてきた商慣習や評価制度の影響が大きい。

会社都合の営業評価 → 担当者がクライアントより“会社”を見てしまう

ここを変えない限り、どれだけ「顧客第一と言いましょう」と叫んでも現実は変わりません。

今回の協会は、この“構造改革”に踏み出した点が大きなポイントです。


「エージェント倫理規定」の制定は業界に何をもたらすか?

今回の目玉として挙げられるのが、

  • 倫理規定の制定と普及
  • 個人会員制度の導入(エージェントのブランド化)
  • クライアントファースト宣言カードの配布

特に私が注目したのは“個人会員制度”。

不動産仲介は、どうしても担当者の力量に左右されます。
だからこそ、担当者自身が“個人として”信頼を獲得していく仕組みが重要になります。

協会に加入することが

「私はクライアントファーストを貫きます」
「倫理規定を遵守します」

という 明確な宣言 になる。

これは、エージェントにとってはセルフブランディングになり、
消費者にとっては担当者の質を見極める指標となる。

もちろん制度としてこれだけでトラブルが消えるわけではありません。
ただし、“基準をつくる”という行動は、業界の透明性向上に確実につながります。


テクノロジー共創は「個人の努力依存」からの脱却につながる

代表理事の江口さんのコメントで印象深かったのが、

「不動産エージェントの属人的な努力に丸投げしない」

という姿勢。

これは業界の課題を非常に正確に捉えています。

不動産仲介は「担当者ガチャ」と揶揄されることがあるほど、
担当者の力量に依存しがちな業界です。

その理由はシンプルで、

  • 情報の非対称性が大きい
  • 担当者の経験・知識・性格の差が大きい
  • 会社間で仕組みの差が大きい

からです。

これを変えるためには、“仕組み”と“テクノロジー”の導入が欠かせません。

今回の協会は、

  • 大手〜スタートアップとの共創
  • 仕組み・制度のアップデート
  • ミートアップ・勉強会での知見共有

といった“横のつながり”を意識したつくりになっています。
この点は非常に実務的で、現場の課題に即しています。


エージェントは「守られる」立場にもなる

もうひとつ重要なのは、“エージェント自身の幸福”にも言及している点です。

従来の不動産仲介の世界では、
成果主義が強く、担当者の疲弊が大きい傾向があります。

今回の協会は、

「エージェント自身の自己実現が叶えられる環境」

を明言している。

これも、実は“不動産仲介の質”を決める上で極めて大きいポイントです。
担当者が疲弊していたら、クライアントファーストは絶対に実現しません。


私が感じる最大の意義:

“クライアントファースト”を言葉ではなく「構造」で実現する試み

今回の協会設立の最大の意義を一言で表すなら、


個人の努力に頼らず、クライアントファーストを「仕組み」で実現しようとしている点


だと思っています。

私はこれまで、数多くの不動産トラブルの相談を受けてきましたが、
多くの場合、悪意があるわけではなく、

  • 会社の評価制度
  • 商品の売り方
  • 担当者教育の不足
  • テクノロジー環境の遅れ

こうした“構造の問題”が根にあります。

だからこそ、今回のような協会が、

  • 倫理規定で方向性を示し、
  • 個人会員制度でエージェントの質を可視化し、
  • テクノロジー共創で構造をアップデートする

という流れをつくるのは、不動産業界にとって非常に価値が大きい。

“ただの理想論”ではなく、“実務のアップデート”として動き始めている点が重要です。


今後は「地域のエージェント」がより価値を発揮する時代に

今回の協会には12社がすでに参加しています。
今後、規模に関わらず志を同じくする事業者が増えるとのこと。

ここで私が期待しているのが、

地域密着の不動産会社が真価を発揮しやすくなる未来

です。

地域に根ざし、本当に顧客の住生活を支えてきた会社は全国にありますが、
これまで「ブランド」や「情報量」の面で大手と比較されがちでした。

しかし、倫理規定や共通テクノロジーが普及すれば、

  • 顧客にとって選びやすい
  • 良質な会社の価値が見えやすい
  • エージェント自身のブランド価値が高まる

という好循環が生まれます。


最後に:この動きが“文化”になることを願う

不動産取引は、多くの方にとって人生最大の買い物です。
にもかかわらず、業界全体の透明性や教育体制が遅れてきたことは否めません。

今回の協会設立は、
「仕組みでクライアントファーストを実現する」という
非常に大きな社会的意義があります。

もちろん、これですべてが一気に良くなるわけではありません。
ただし、今回の動きは“流れを変える第一歩”であることは間違いありません。

私自身も一人の不動産会社経営者として、
そしてエージェントの一人として、
この取り組みが“業界の文化”となることを心から願っています。

今後もこのカテゴリーでは、
不動産業界の変化をわかりやすく、正直に、
そして誰も傷つけない形で分析していきます。

出典:日本不動産エージェント協会 https://agent-re.org/information/detail/?id=xlc4e9_3yc

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