フラット35金利が2ヵ月ぶりに上昇──その小さな「変化」が意味するもの

フラット35金利が2ヵ月ぶりに上昇──その小さな「変化」が意味するもの

11月4日、住宅金融支援機構が発表した2025年11月のフラット35金利
最頻金利は21年以上・融資率9割以下で年1.900%(前月比+0.010%)、20年以下では年1.510%(同+0.010%)と、いずれも2ヵ月ぶりの上昇となりました。

数字だけ見れば「わずか0.01%」。しかし、不動産市場や住宅購入の現場を長く見てきた立場から言えば、この小さな動きこそが“市場の呼吸”を映すサインです。


目次

金利上昇の背景にある「3つの現実」

① 日銀の政策修正と長期金利の波

2025年秋以降、日銀は「事実上のゼロ金利政策」から徐々に金利正常化のフェーズへと移行しています。
長期金利(10年国債利回り)は0.9~1.0%台を行き来し、金融市場では「次の利上げはいつか」という視線が強まっています。
フラット35の金利はこの長期金利の動きと連動するため、わずかな上昇も市場心理を映した結果といえます。

② 建設コストの高止まり

ウクライナ情勢・中東の緊張・円安などを背景に、資材価格や人件費は依然として高水準。
建設コストの上昇が住宅価格を押し上げ、新築市場の“値ごろ感”が薄れているのが現状です。
金融機関としてもリスクヘッジの一環で、金利を慎重に上振れさせる傾向があります。

③ “買い控え”と“慣れ”がせめぎ合う消費者心理

金利上昇局面では「今は様子を見よう」という心理が働きがちですが、近年の住宅購入者の多くは固定金利志向が強く、変動金利に対する警戒感を持っています。
つまり、「フラット35であれば安心」というブランド信頼が、小幅な金利上昇では需要を鈍らせにくい状況を生んでいます。


金利上昇が示す“未来の不動産市場”

1.短期的には「横ばい〜微減」、中長期的には「安定的推移」へ

不動産価格の上昇が一服する兆しが見られる中で、今回の金利上昇は市場の健全化を促すきっかけになるかもしれません。
一方で、急激な上昇ではなく、“正常化への微調整”に過ぎないとも言えます。

日本の住宅ローンは諸外国と比較しても依然として超低金利水準
米国では30年固定金利が7%前後まで上昇していることを考えると、1.9%という数字は依然として「歴史的低水準」であることを忘れてはいけません。


今、住宅購入を検討している人へ——「タイミング」より「計画力」

金利が上がると、「今のうちに借りよう」「もう少し待とう」といったタイミング論が話題になります。
しかし、私は20年以上この業界を見てきて断言できます。

“金利の波”よりも、“ライフプランの軸”を持つ人が、最終的に幸福な住まいを手にしている。

家は「人生の拠点」です。市場の一瞬の動きよりも、返済の見通し・家族構成・将来の収入見込みを総合的に見て判断することが大切です。

そのためにフラット35のような固定金利型ローンは、“安心のコストを先払いする仕組み”とも言えます。
変動金利が安く見える時期こそ、リスクとリターンのバランスを冷静に考えるべき時期です。


不動産投資家の視点から見ると?

不動産投資の世界でも、金利上昇は「買い控え要因」よりもむしろ“ポートフォリオの再構築タイミング”として捉えられています。
固定金利の上昇局面では、キャッシュフロー型から資産成長型へ戦略転換する投資家が増える傾向にあります。
つまり、短期利回りではなく
エリア価値・賃貸需要・再開発動向を軸にした“中長期の安定”を重視する方向です。

特に千葉県内(市原・木更津・君津など)の郊外エリアでは、駅近×生活利便性×地価安定性の三拍子が揃った物件が再評価されています。
金利上昇を恐れるよりも、「何を軸に持つか」を見極める時期に来ています。


まとめ:金利上昇は“脅威”ではなく“転換点”

今回のフラット35の金利上昇は、
「住宅市場が徐々に“異常な低金利”から抜け出そうとしている」
その小さなサインに過ぎません。

市場は息をしながら動いています。
焦る必要も、悲観する必要もありません。
むしろ、今こそ「自分の暮らしをどう設計するか」を見つめ直す絶好の機会です。

私はこれを、“金利上昇ではなく、暮らし方の正常化”と呼びたいと思います。

出典:不動産流通研究所 https://www.re-port.net/article/news/0000080249/

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