東京23区中古マンションが1億円突破──2025年不動産市場総括から読み解く「住まい」と「暮らし」のこれから【LIFULL HOME’Sマーケットレポート】

2026年1月、LIFULL HOME’Sより公開された「マーケットレポート2025年総括版」は、不動産市場に関わる人だけでなく、これから住まいを考えるすべての人にとって示唆に富む内容でした。
とりわけ注目を集めたのが「東京23区ファミリー向き中古マンション価格が1億円を突破した」という事実です。

この数字だけを見ると、「もう一般の人は都心に住めないのか」「不動産バブルではないのか」といった不安や疑問を抱く方も多いでしょう。しかし、私はこのレポートを読み進める中で、単なる価格高騰ではなく、日本の住まい方・価値観・経済構造の変化が静かに、しかし確実に進んでいることを強く感じました。

レポートの原文については本記事末尾の出典よりご確認ください。

目次

都心中古マンション高騰の本質

東京23区のファミリー向き中古マンション価格は、2025年12月時点で平均1億1,549万円。年間上昇率は51.5%と、前年を大きく上回っています。
背景には、新築マンション価格の高騰により「築浅中古」に需要が集中していること、都心部での投機的取引の存在、そして築年数が平均で7年も若返っているという構造変化があります。

これは「無理な値付け」だけで起きている現象ではありません。
市場参加者全体が、新築・中古の垣根を越えて「相対的に合理的な選択」をしている結果なのです。

哲学的に言えば、これは人間が限られた資源の中で最適解を探し続ける行為そのものです。価格は感情ではなく、集合知としての判断の結果とも言えます。

ファミリー層の一戸建てシフトが示すもの

一方で、中古一戸建て市場にも明確な変化が見られます。
マンション価格との乖離が広がる中、ファミリー層の問い合わせは一戸建てへとシフトし、その流れは「一時的な現象」ではなく、定着しつつあります。

これは単なる価格要因だけではありません。
在宅ワークの定着、生活空間の再評価、子育て環境への意識変化など、暮らしの質を重視する心理的転換が背景にあります。

マーケティングの観点で言えば、「都心・駅近・新築」という単一価値の時代から、「広さ・柔軟性・コストバランス」という複合価値の時代へ移行していると言えるでしょう。

賃貸市場の上昇は「静かな危機」でもある

2025年は賃貸市場においても、過去最高水準の賃料が記録されました。
特に注目すべきは、東京都下や大阪市外といった郊外エリアでも賃料上昇が本格化している点です。

賃料上昇の要因は明確です。
固定資産税、修繕費、金利負担の増加。これらのコストは、最終的に賃料に転嫁されます。一方で、賃金の上昇はそれに追いついていない。
その結果、ユーザーは「より遠く、より狭く、より古く」という選択を迫られています。

ここには、誰かの失策があるわけではありません。
社会全体のコスト構造と生活防衛本能がせめぎ合っている状態なのです。

2026年以降、不動産市場はどうなるのか

中古住宅の性能向上を後押しする税制改正もあり、2026年も中古市場の活性化と価格上昇傾向は続くと見られています。
ただし、重要なのは「価格が上がるか下がるか」ではありません。

本当に問われているのは、
自分や家族にとって、どんな暮らしが持続可能なのか
という問いです。

不動産は投資対象である前に、生活の基盤です。
数字の向こう側には、必ず人の人生があります。

私は、不動産市場の変化を「恐れるもの」ではなく、「考える材料」として捉えるべきだと思っています。
2025年のマーケットは、私たちにそのことを静かに教えてくれているのではないでしょうか。

出典:株式会社LIFULL https://lifull.com/news/46360/

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