仕事とは思っていないない、好きな事だと思うと時間を忘れて没頭してしまう、そんな人が私の周りには多い気がします。その一人が当社のロゴデザインを作ってくれた人です。今回の話ではその人を師匠と呼ぶ事にします。
私には社会人一年目からデザインの師匠がいました。かれこれ今年で20年のお付き合いになります。初めてお会いした時は師匠が45歳くらいだから、今の私の年齢に割と近いですね。その時、師匠は都内で広告の制作会社を経営し、入社一年目の私は横浜で中古マンションの売買を担当していました。中古マンションの販売に広告をお願いしたのがきっかけで知り合いました。その師匠がいなければ、私のキャリアはなかった思います。要所要所でいつも助けていただきました。
当初は、広告代理店が間に入っていたので、基本的な広告制作のやり取りは広告代理店の担当者と行います。しかし、当時入社したて1年目の営業マンの私は出来ることはなんでもやろうと日中は駆けずり回っていたので、会社に戻ると夜、広告制作のために広告代理店の担当者に連絡を取っても遅い時間でした。厄介な営業マンだった私はデザインの注文が多く担当者を困らせていたと思います。そんな日々が続き、代理店担当者も嫌気が刺したのでしょう、デザイン校正については直接制作会社に電話してくれという事になり、師匠と連絡を直接取るようになりました。
これが私にとって生涯の宝となるご縁のきっかけです。
どんなに私が遅い時間になっても付き合ってくれました。デザインもこちらの期待以上に応えてくれる、今でも当時の感動が蘇るのは埼玉県の中古マンションの販売の広告を作る時でした。入社2年目を迎えた私は数えきれないほどの案件を抱え、広告のデザインを考える余裕がなく、会社に戻るのも深夜に近い日が増えていた頃です。(ブラック企業に勘違いされてしまいそうですが、自ら好んでやっていたのでブラックだとは全く思いませんでした)いつも通り深夜近くにオフィスに戻り、これから広告作成をとPCを立ち上げたその時、師匠からは完璧な広告が仕上がっていた。
不動産を知っていただく上で、広告やプロモーションはとても大切な要素です。どんなに素敵な建物であったとしても、それを実際に見たいと思えるかは、広告に左右されると思います。人の感情を動かす何かが、デザインにはあります。美しいデザイン、綺麗な花や風景、それらの写真、絵画、ファッションなどデザインはいろいろあるけれど、人間が抱くそれらの良いデザインだと思う感情には、共通している要素があるのだと思う。綺麗な花を見て美しいと感じるのは、私だけではなく、他の皆さんも一緒だろうし、国が違っても感じる事はほぼ一緒だと思う。でも、その要素を学ぶとしたら長い時間と経験が必要なのだと感じてます。それと、何よりもそれを本気で楽しんでできるかどうかなのだと。
入社当初から広告や販売パンフレットの制作をその師匠と共に二人三脚でやってきて感じることは、デザインは学べるということだ。今、私は国内不動産流通大手の会社でアドバイザーを務めていて、その中で販促用のパンフレット等を当社で一部を請け負っている。先方の担当の方に素案を出だした時の「大橋さんはどこでデザインを学んだんですか?」という言葉で、社会人経験の中でデザインを学んでいたんだなと気づかされました。自分の人生を振り返れば、学生時代にデザインをどこかで学ぶという経験は一切ない。社会人になり、不動産業界に入り仕事の中でどのようにすればお客様に見てもらえるだろうか、印象に残るデザインや言葉はどんなだろうと考えていた。だから、本屋さんに並ぶ雑誌、電車の中吊り、テレビCM、普段のお買い物も含めて、不動産広告やデザインの参考にできる学びの場でした。常にそんな意識で周りを見ていたら、疲れそうに感じるかもしれませんが、私の場合、もともとデザインや言葉を考えるのが好きだったからできたのかもしれません。
好きな事だと、常に楽しいし、時間を忘れてしまいます。師匠も仕事を楽しんでやっていました。こんな経験をしていると私も、今やっている不動産のお仕事を本気で楽しんでいこうと思っています。こちらが楽しんでいなければお客さまも楽しめないですしね。