【最新レポート】2025年9月ハワイ・オアフ島 不動産マーケット

〜一戸建てが27%増、勢いを取り戻すハワイ市場〜

2025年9月のオアフ島の住宅市場は、予想以上の回復基調を見せています。
シングルファミリーホーム(一戸建て)の販売件数は前年同月比で27.2%増となり、276件に達しました。コンドミニアム(集合住宅)も11.5%増の408件と、両市場ともに力強い上昇を見せています。

この数字は単なる一時的な回復ではなく、「買い手と売り手の心理の変化」を示すサインでもあります。2024年に金利上昇と在庫不足で一時的に冷え込んだ市場が、2025年半ば以降、徐々に新しい均衡点を見つけ始めているのです。


目次

■ 一戸建て価格は再び上昇、コンドはやや調整局面

2025年9月の一戸建ての中央値価格は1,155,000ドル(約1億7,800万円)で、前年より3.8%上昇しました。
一方、コンドミニアムの中央値は508,750ドル(約7,850万円)と、前年より1.7%下落しています。

これは、オアフ島全体の住宅供給と需要バランスの違いをよく表しています。
一戸建ては依然として供給不足が続いており、特に80万〜90万ドル台の「ミドルレンジ層」が強い動きを見せています。実際、この価格帯の販売は前年より81%増加しています。
また、140万〜160万ドル台の上位レンジでも販売件数が2倍となり、富裕層やセカンドホーム需要が依然として底堅いことが伺えます。

コンドミニアムについては、やや価格調整が進んでいます。
これは、パンデミック期に高騰した価格が一巡し、ローカル層や投資家が「再び買いやすい」価格帯に戻りつつあるためです。
特に10万〜30万ドル台の低価格帯コンド(リノベーション向けやリースホールド物件など)は販売数が倍増(32→70件)しており、ローカル投資家の動きも活発化しています。


市場滞留期間(Days on Market)は延びるも、売れ行きは堅調

一戸建ての平均販売期間(成約までの日数)は26日と、昨年の19日からやや長くなっています。
コンドミニアムも40日(前年31日)と増加。
「売れにくくなったのでは?」と思われがちですが、実際には市場が“正常化”しているサインです。

2021〜2023年の異常な「即売れ」状態が落ち着き、買い手がじっくり比較検討できる環境に戻ってきました。
売り手にとっては価格設定の見直しが必要な局面ですが、逆に買い手にとっては「交渉余地のある健全な市場」になったと言えます。


新規物件はやや減少も、在庫は増加傾向に

9月の新規一戸建てリスティング(新規売り出し)は330件(前年比6.0%減)、コンドは638件(前年比1.1%増)でした。
一見減少に見えますが、四半期ベースでは両市場とも前年を上回っており、通年では一戸建てで+7.0%
、コンドで**+12.0%**と供給は着実に増えています。

注目すべきは「アクティブ在庫(売り出し中物件)」の増加です。
一戸建ては前年より5.7%増、コンドミニアムは23.3%増と大幅に伸びました。
これは、買い手にとっては選択肢が増え、取引交渉に余裕が生まれていることを意味します。
2023年頃までの「売り手市場」から、現在は「バランス市場」への転換点にあると言えるでしょう。


成約状況:一戸建ては一服、コンドは堅調

「成約待ち(Pending)」の動きを見ると、市場の勢いがより明確になります。
一戸建ては前年より11.8%減の239件とやや減速しましたが、コンドは2.5%増と堅調に推移しています。
これは、金利の影響を受けやすい高価格帯の一戸建てよりも、比較的手頃なコンドミニアムに需要がシフトしている表れです。

また、成約価格が「売出価格を上回った」割合にも変化が見られます。
一戸建ては約25%(前年29%)、コンドは8%(前年14%)と、いずれも過熱感が和らいでいます。
これは価格上昇のスピードが落ち着き、適正価格での取引が増えている健全な兆候です。


ハワイ市場に見る「再バランス」の兆し

ここ数年のハワイ不動産は、パンデミックによる移住ブームと投資需要に支えられ、異常な高騰を続けてきました。
しかし、2024年の金利上昇や世界的な経済不安を経て、今は「健全な修正期」を迎えています。

興味深いのは、価格が下がっているわけではなく、むしろ一戸建ては再上昇しつつある点です。
つまり、需要が確実に戻ってきているということ。
とりわけ、オアフ島ではミドルレンジ(80〜150万ドル台)が活発で、住宅ローンを組める層の動きが強まっています。


日本人バイヤーへの示唆:今こそ「中長期目線」での検討を

日本人投資家・移住希望者にとって、今のハワイ市場はチャンスでもあります。
為替的には円安が続いていますが、それ以上に「価格が安定し、選択肢が増えている」点が重要です。
2022〜23年のように“物件が出た瞬間に消える”という過熱状態は落ち着き、今は現地視察や交渉の余地が十分あるフェーズに入っています。

また、オアフ島の開発動向を見ると、Kakaʻako地区の再開発Kaliʻu、MUSEなどの新築プロジェクトが堅調に進んでおり、長期的な都市価値の上昇は続くと見られます。
このような都市インフラ整備と再開発が進むエリアでは、短期的な調整局面でも資産価値が下がりにくいという特徴があります。


まとめ:2025年秋、ハワイ不動産は「安定と選択の時代」へ

総じて、2025年9月のオアフ島不動産市場は「回復と安定」がキーワードです。
販売件数の増加、在庫の拡充、価格の安定という三拍子が揃い、過熱でも停滞でもない健全な市場に戻りつつあります。

日本から見ると、「高値圏」と感じるかもしれませんが、ハワイ不動産の本質的な価値は**“稀少性と国際的なブランド力”**にあります。
この先も世界中から需要が集まるマーケットであることに変わりはありません。

2025年後半から2026年にかけては、金利の落ち着きとともに、再び海外投資家が戻ってくる可能性も高いです。
つまり、今の安定期こそ、良質な物件を見極めるチャンスです。

ハワイ不動産の魅力は「投資」と「ライフスタイル」が融合している点にあります。
単なる資産運用ではなく、“人生の質”を高める投資として、これからも注目していく価値があるでしょう。

現地、Hnolulu Board of REALTORS の全レポートは以下のボダンよりご確認いただけます。

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