不動産の相談を受けていると、「千葉市の中で通勤・子育て・住環境のバランスがいいエリアはどこですか?」という質問をよく受けます。
その答えのひとつが、「稲毛(いなげ)」駅です。
稲毛は、千葉市稲毛区の中心に位置し、JR総武線快速が停車する利便性の高い駅。
東京駅まで約45分、千葉駅まではわずか5分という好アクセスでありながら、駅の北側には昔ながらの住宅街、南側には海辺の自然と広がるベイエリアが共存する街です。
この記事では、そんな稲毛駅の【アクセス・生活環境・住宅事情・街の将来性】を、不動産のプロの視点からわかりやすく解説します。
アクセスの良さ ― 都心・千葉の両方向に強いダブルアクセス
稲毛駅は、JR総武線快速と総武線各駅停車の2路線が利用できるのが特徴です。
快速なら東京駅まで直通45分前後。品川方面へも1時間以内でアクセスでき、都心通勤にも十分対応できます。
さらに、千葉駅まで1駅・約5分という近さ。
千葉駅は総武線・外房線・内房線・京成線が集まるターミナル駅なので、外房や木更津方面への移動も便利です。
また、稲毛駅東口からは京成稲毛駅(徒歩約10分)も利用可能。
京成線を使えば津田沼・船橋方面や成田空港にもアクセスでき、旅行や出張の多い方にも人気です。
この“複数ルートの選択肢”が、稲毛が根強く人気を保っている理由のひとつです。
駅周辺の生活利便性 ― 「ほどよい都会」と「安心の地元感」
駅前には、ペリエ稲毛(駅ビル)をはじめ、イオン稲毛店、西友稲毛店、マツモトキヨシ、ドトールコーヒーなど、日常生活に必要な店舗がすべて揃っています。
買い物・食事・銀行・病院が駅徒歩5分圏内で完結する、コンパクトな利便性が魅力です。
特にペリエ稲毛は、惣菜店やカフェが充実しており、帰宅途中に立ち寄る人も多いです。
駅の北口側は昔ながらの商店街が残っており、地元の八百屋や惣菜店など、“人の温かみ”を感じる雰囲気も。
一方、南口側は再開発が進み、マンションや大型商業施設が立ち並ぶ“新しい稲毛”の顔を見せています。
教育環境と文教エリアとしての評価
稲毛区は古くから“文教地区”として知られています。
駅周辺には千葉大学(西千葉キャンパス)をはじめ、千葉経済大学附属中・高等学校、敬愛大学など教育機関が集中。
学園都市としての穏やかで落ち着いた雰囲気が街全体に漂っています。
また、稲毛小学校・稲毛中学校など、評判の良い公立校も多く、子育て世帯の住宅需要が高いエリアです。
学習塾や英会話スクールも豊富で、教育意識の高い家庭が多いのも特徴的。
文教エリアとしての信頼感が、不動産価値を安定させる大きな要素にもなっています。
ベイエリアの自然と海辺の魅力 ― 「稲毛海浜公園」がすぐそこに
稲毛駅からバスで10分ほど行くと、千葉市を代表する海辺のレジャースポット、稲毛海浜公園があります。
この公園は東京湾に面しており、広大な芝生広場・人工海浜(いなげの浜)・ヨットハーバーなどが整備された、美しいウォーターフロントエリアです。
週末にはランニングや犬の散歩、家族連れのピクニックでにぎわい、夏には海水浴や花火大会も開催。
近年は「ザ・サーフ オーシャンテラス」などの海辺ウェディング施設やレストランも増え、洗練されたリゾート感も漂います。
海まで気軽に行ける立地ながら、駅周辺は高台になっており、津波リスクも比較的低い点も安心材料です。
住宅事情と相場観 ― 中古マンション需要が堅調、再開発も進行中
不動産の視点で見ると、稲毛は中古マンション市場が非常に活発なエリアです。
駅徒歩10分以内のファミリー向けマンションは、築20〜30年程度の物件でも2,500万円〜4,000万円前後。
築浅(10年以内)やリノベーション済み物件になると、4,500万円〜5,500万円程度が相場です(2025年時点)。
一戸建ては、駅北口方面の稲毛東・小仲台・園生町あたりに多く、敷地付きで4,000万〜6,000万円台が中心。
比較的静かな住宅街が広がり、庭付き一戸建てを希望する層にも人気です。
さらに注目すべきは、稲毛駅東口エリアの再開発計画。
近年、ペリエ周辺の再整備やバスロータリーの拡張など、駅前インフラの改善が進行中。
将来的な不動産価値の上昇余地が期待されています。
■ 稲毛駅の基本情報と位置関係
稲毛駅(千葉市稲毛区稲毛東3丁目)は、総武線快速と各駅停車が利用できる便利な駅。
北口と南口で街の雰囲気が大きく異なります。
- 北口側:落ち着いた住宅街・文教地区(稲毛東、小仲台、園生町など)
- 南口側:海浜方面・再開発エリア(稲毛海岸、美浜区方面)
この「古くからの住宅地 × 新しい街づくり」の両面が、稲毛エリアの大きな特徴です。
■ 北口エリア①:稲毛東(いなげひがし)・稲毛町 ― 駅近の閑静な住宅街
住所:千葉市稲毛区稲毛東1〜6丁目、稲毛町5丁目周辺
稲毛駅の北口を出てすぐ広がるのが「稲毛東」エリア。
駅から徒歩5〜10分圏内でありながら、閑静な低層住宅が立ち並ぶ街並みです。
古くからの邸宅街が多く、落ち着いた住環境が魅力。
近隣には稲毛小学校・稲毛中学校があり、学区の評判も良好。
地元では“文教地区”として知られ、子育て世帯に根強い人気があります。
また、稲毛公園や黒砂公園などの緑地も点在し、駅近ながら自然も感じられるバランスの良い立地です。
▶ 相場感(2025年現在)
- 中古マンション:3,000万〜4,800万円
- 戸建住宅:5,000万〜6,500万円前後(駅徒歩10分圏内)
- 土地価格:坪単価 約100〜130万円程度
駅近で住宅需要が安定しており、将来的な資産価値も比較的堅調なエリアといえます。
■ 北口エリア②:小仲台(こなかだい) ― 教育施設と商業施設が揃う人気住宅地
住所:千葉市稲毛区小仲台1〜9丁目
稲毛駅北口からペリエを抜けると広がる「小仲台」エリアは、稲毛区の中心的な住宅地。
区役所や図書館、イオン稲毛店、西友稲毛店などが集まり、生活利便性が非常に高い地域です。
また、小仲台は教育環境も整っており、小仲台小学校・小仲台中学校の学区は地元でも人気。
通学路が整備されていて治安も良く、子育て世代の移住が増えています。
特に、小仲台1〜3丁目は駅近のマンションが多く、ファミリー層の中古需要が活発。
4丁目以降はやや高台で一戸建ても多く、静かな住宅街が広がります。
▶ 相場感(2025年現在)
- 中古マンション:3,500万〜5,500万円
- 戸建住宅:4,500万〜7,000万円
- 坪単価:約110〜140万円(駅徒歩10分圏)
「生活の便利さ」「教育環境」「交通アクセス」のバランスが取れており、稲毛の中でも最も人気の高い住宅地のひとつです。
■ 北口エリア③:園生町(そんのうちょう)・天台(てんだい) ― ゆったりとした郊外住宅地
住所:千葉市稲毛区園生町、天台1〜5丁目
稲毛駅から北西方向へ進むと広がるのが園生町エリア。
駅から徒歩15〜20分ほどの距離ですが、敷地が広く、落ち着いた一戸建てが並ぶ住宅街です。
「静かに暮らしたい」「車中心の生活がしたい」という方に向いています。
近くには千葉経済大学附属高校や敬愛大学があり、学生が多い地域でもありますが、住宅街自体は落ち着いた雰囲気。
スーパー「ヤオコー稲毛店」や「ワンズモール」などもあり、日常の買い物には困りません。
▶ 相場感
- 中古戸建:3,000万〜4,800万円前後
- 土地:坪単価 約70〜90万円
- 中古マンション(駅徒歩圏外):2,000万台〜
車での移動を前提としたライフスタイルであれば、広い土地と静けさを確保できる穴場エリアです。
■ 南口エリア①:稲毛海岸(美浜区) ― 海と都市機能を併せ持つベイタウン
住所:千葉市美浜区高洲・稲毛海岸・真砂・高浜など
稲毛駅南口からバスで10分ほど進むと、海浜ニュータウン「稲毛海岸」エリアに到着します。
こちらは同じ「稲毛」と名がついていますが、行政区としては美浜区に属します。
駅こそ異なりますが、稲毛駅利用圏として中古マンションを探す方も多いエリアです。
「稲毛海岸駅(京葉線)」を中心に整備された街で、公園・海・商業施設がそろう整った街並みが特徴。
近年は、稲毛海浜公園のリニューアルや、海辺のカフェ「ザ・サーフ オーシャンテラス」などの開業により、人気が再上昇しています。
▶ 相場感
- 中古マンション:2,800万〜4,200万円
- 新築マンション:4,500万〜5,500万円
- 戸建住宅:4,000万〜6,000万円前後
海を感じながらも生活インフラが整っており、子育て世代・リタイア層双方に人気のエリアです。
■ 南口エリア②:黒砂台(くろすなだい)・稲丘町 ― 坂のある高台の住宅街
住所:千葉市稲毛区黒砂台・稲丘町・稲毛2〜3丁目
黒砂台・稲丘町エリアは、駅の南西に位置するやや高台の住宅地。
古くからの分譲地が多く、落ち着いた一戸建て街区が広がっています。
坂道が多い一方で、眺望や日当たりの良さに魅力があり、近年はリノベーション済みの中古住宅も増加。
周辺には「稲毛区役所」や「千葉大学病院」も近く、医療・行政施設が充実しています。
▶ 相場感
- 戸建住宅:3,800万〜5,500万円
- 土地:坪単価 約90〜120万円
- 中古マンション:2,800万〜4,000万円
南向き・高台・駅徒歩15分圏の物件は人気が高く、稲毛らしい“穏やかな住宅街”を求める方におすすめです。
■ 不動産コンサルタントが見る「稲毛」の資産価値と将来性
稲毛の不動産市場は、派手な値上がりは少ないが安定感が非常に高いのが特徴です。
総武線快速停車駅としての交通利便性、教育環境、海や自然との距離感のバランスが良く、長期的な資産価値が見込めます。
また、稲毛駅東口の再開発や、稲毛海浜公園の整備によって、街全体の魅力は年々向上しています。
“千葉市内でバランスの取れた暮らしがしたい”という方にとって、稲毛はこれからも注目のエリアです。
■ まとめ:稲毛駅エリアで暮らすなら「自分のライフスタイルに合うエリア選び」が鍵
稲毛駅周辺は、同じ「稲毛」といっても、
- 駅近で利便性を重視するなら → 稲毛東・小仲台
- 静かな戸建街を求めるなら → 園生町・黒砂台
- 海辺の新しい街に住みたいなら → 稲毛海岸エリア
といったように、エリアごとに性格が大きく異なります。
住宅購入の際は、「通勤時間」「学区」「生活導線」「将来の資産性」のバランスを考えて、現地を歩いてみることをおすすめします。
こんな方におすすめ ― 稲毛に向いているライフスタイル
稲毛は、「都心への通勤」と「落ち着いた生活」を両立したい方にぴったりの街です。
具体的には、こんな方におすすめできます。
- 千葉・都内どちらにも通勤できる利便性がほしい
- 海や自然を感じながら、子育てしやすい環境を望む
- 駅前の生活利便性と落ち着いた住宅地の両方を求めている
- 教育環境の整った地域に住みたい
- 将来の資産価値が安定しているエリアを選びたい
特に子育て世代やセカンドライフ世代にとって、無理のない通勤圏で、自然や教育環境に恵まれた稲毛は「ちょうどいい街」といえるでしょう。
不動産会社の視点から見た「稲毛」の将来性
千葉市中心部の再開発や海浜エリアのリゾート整備により、稲毛は「暮らしの質」が高まっているエリアです。
また、近隣の「検見川浜」「海浜幕張」との連携も進み、今後は“海辺の街・稲毛”としてブランドがさらに強まるでしょう。
地価も比較的安定しており、急上昇はしないが下がりにくいという堅実な市場特性。
これから中古マンションを購入して長く住む方や、リノベーションを検討する方にとっても魅力的です。
まとめ ― 「海と教育、両方そろう街」それが稲毛
稲毛駅周辺は、
- 都心アクセスの良さ
- 教育・医療・商業施設の充実
- 海辺の自然との近さ
という3拍子がそろった、千葉市屈指の人気住宅エリアです。
派手さはないものの、「暮らして実感する心地よさ」がある。
それが稲毛という街の最大の魅力だと思います。
これから住宅購入を検討している方にとって、
“安心して長く住める街”という観点から、稲毛は非常におすすめできるエリアです。

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