千葉県北西部に位置する「我孫子(あびこ)駅」。
常磐線と成田線が交わる交通の要衝でありながら、駅周辺には緑豊かな公園や手賀沼の自然が広がり、静けさと便利さを両立した住環境が魅力の街です。
ここ数年、柏・松戸といった人気エリアの地価上昇が進む中で、「同じ路線で、もう少し落ち着いた住環境を」という方が注目しているのが、この我孫子エリア。
本記事では、不動産のプロとして、街の特徴・住宅事情・子育て環境・将来の資産価値までを総合的に解説します。
アクセスの良さと利便性のバランス
我孫子駅はJR常磐線と成田線が交差する駅です。
快速電車なら、上野駅まで約35分、東京駅までも1時間圏内。
また、常磐線の快速・各駅停車がともに停車するため、通勤時間帯でも本数が多く、座って通勤できるチャンスが多いのも魅力です。
一方で、成田線を使えば成田空港方面へのアクセスも良く、出張や旅行の多い方にも便利。
さらに隣駅の「天王台」まで行けば、快速停車駅としてよりスムーズな都心アクセスも可能です。
駅周辺には「アビイクオーレ」などの商業施設があり、スーパー、ドラッグストア、書店、カフェなど日常生活に必要な店舗が集約されています。
大型ショッピングやファッションを楽しみたいときは、柏駅(電車で約6分)や取手駅方面へ出かければ十分に対応できます。
手賀沼を中心とした“水と緑の街”
我孫子の大きな特徴は、自然環境の豊かさです。
駅から徒歩15〜20分圏内に「手賀沼公園」や「手賀沼親水広場」があり、ジョギング・サイクリング・ピクニックなど、季節を感じながら過ごせる環境が整っています。
朝の沼沿いを散歩している地元住民も多く、犬の散歩をする人、子ども連れで自転車に乗る家族、湖畔のカフェでモーニングを楽しむ人――
そんな「ゆるやかな日常」が、この街の空気感を象徴しています。
また、手賀沼周辺は環境保全が進められており、「手賀沼ふれあい緑道」など散策ルートが整備されています。
都市の便利さを享受しながらも、自然との距離が近い——それが我孫子の最大の魅力です。
教育と文化の街 ― 子育て世代にも人気
我孫子市は「文教都市」としても知られています。
市内には公立小中学校の評判が高いほか、私立校・学習塾も充実しており、教育熱心な家庭に選ばれています。
また、「我孫子市図書館」は蔵書数・利便性ともに県内でも高評価。
特に駅北口の「アビイクオーレ」内にある分館はアクセス抜群で、親子で立ち寄る姿もよく見られます。
さらに、かつて文化人が多く住んだ地としても有名です。
文豪・志賀直哉や武者小路実篤らが暮らした「我孫子文人の森」や「白樺派ゆかりの記念館」など、文化的な香りが漂うのもこの街ならでは。
子どもをのびのびと育てたい家庭、教育環境を重視する共働き世帯には、とてもバランスの良い街といえます。
住宅相場と街のタイプ別特徴
2025年現在、我孫子駅周辺の住宅価格は、柏駅よりも1〜2割ほど抑えめです。
● 新築マンション相場
・駅徒歩10分以内:4,000〜5,500万円台
・手賀沼ビューなど景観良好エリアでは6,000万円台の物件も
● 中古マンション相場
・築10〜20年:2,500〜3,800万円
・築浅・駅近タイプ:4,000万円前後
● 戸建て相場
・新築:3,500〜5,000万円台
・中古:2,000〜4,000万円台が中心
このように、都心通勤圏内でありながら、手頃な価格帯で質の高い住まいを手に入れやすいのが我孫子の魅力です。
さらに、土地面積にゆとりがある物件が多く、カースペース2台分・庭付きの戸建ても珍しくありません。
郊外の広さと都市の便利さを両立した“ちょうどいい暮らし”が叶うエリアです。
我孫子駅周辺の主要住宅地エリアと特徴
【1】我孫子一丁目・二丁目(駅北口側の中心エリア)
住所:我孫子市我孫子1〜2丁目
北口から徒歩5〜10分圏内に広がる住宅地で、駅からのアクセスが非常に良好。
古くからの邸宅街と新築分譲住宅が入り混じるエリアで、生活利便性と落ち着いた雰囲気を両立しています。
- 周辺施設:我孫子駅北口ロータリー、イトーヨーカドー跡地再開発地、アビイクオーレ
- 教育施設:我孫子第一小学校、我孫子中学校
- 治安・雰囲気:明るく整然とした街並み、夜間も人通りがあり安心感あり
相場感(2025年時点)
- 新築戸建:4,000〜5,500万円前後
- 中古戸建:3,000〜4,500万円前後
- 中古マンション:2,800〜3,800万円台(築15〜20年)
→「駅近×静かな住宅街」という希少性から、資産価値が安定しているエリアです。
【2】白山一丁目〜三丁目(人気の文教・住宅エリア)
住所:我孫子市白山1〜3丁目
南口側に位置し、駅から徒歩10〜15分。
我孫子市内でも特に人気が高い住宅エリアのひとつです。
緑豊かな通りが多く、手賀沼へもアクセスが良いため、「子育て環境の良さ」「景観の良さ」で支持されています。
- 周辺施設:白山中学校、白山保育園、手賀沼公園、イトーヨーカドー我孫子南店
- 特徴:坂が少なく、道が広くて整備されている/子どもがいるファミリー層が多い
相場感
- 新築戸建:3,800〜5,000万円台
- 中古戸建:2,500〜4,000万円
- 土地(40坪〜50坪):2,000〜2,800万円前後
→「手賀沼を散歩できる距離にある街」として、穏やかで上品な住宅街を求める層に人気。
【3】緑一丁目〜二丁目・寿二丁目周辺(落ち着いた郊外型エリア)
住所:我孫子市緑1〜2丁目、寿2丁目周辺
駅から徒歩15〜20分圏。
大型分譲地や戸建て住宅が整然と並び、静かな住宅環境が魅力。
車所有者が多く、駐車2台付き住宅も豊富です。
- 周辺施設:我孫子第四小学校、我孫子市民体育館、近隣に大型公園
- 雰囲気:ゆったりとした区画/閑静で落ち着きあり/庭付き住宅が多い
相場感
- 新築戸建:3,200〜4,300万円
- 中古戸建:2,000〜3,500万円
- 土地:1,500〜2,200万円(50坪前後)
→「駅からは少し距離があっても静かに暮らしたい」層におすすめ。
広い敷地で家庭菜園やガーデニングを楽しむ方も多いエリアです。
【4】我孫子新田・都部(つべ)・並木エリア(バランス型の住宅地)
住所:我孫子市我孫子新田、都部、並木
成田線方面へ少し離れたエリア。
比較的新しい分譲住宅や整形地が多く、価格も駅近より抑えめ。
道路幅が広く、生活利便施設も徒歩圏に揃っています。
- 周辺施設:ヤオコー我孫子店、セブンパークアリオ柏(車10分圏)
- 特徴:住宅地として整備が進んでおり、道路や公園がきれい
- 小中学校:並木小学校、我孫子中学校
相場感
- 新築戸建:3,000〜4,200万円
- 中古戸建:2,000〜3,000万円
- 土地:1,300〜2,000万円
→「価格を抑えつつ、街並みが整った分譲住宅に住みたい」というニーズに合致。
【5】手賀沼周辺(景観重視のリゾートライクエリア)
住所:我孫子市高野山、若松、寿、船戸エリアなど
手賀沼の南側・湖畔に広がる住宅地で、
「自然と共に暮らす」「景色の良い家に住みたい」という層に人気。
一戸建て中心で、沼を望む立地では特に希少価値があります。
- 周辺施設:手賀沼公園、手賀大橋、道の駅しょうなん(車で約10分)
- 雰囲気:開放的で静か、カフェやベーカリーも点在
相場感
- 新築戸建:3,000〜4,500万円
- 中古戸建:2,000〜3,800万円
- 土地(60坪前後):1,800〜2,800万円
→「自然の中で暮らしたい」「週末は湖畔で過ごしたい」というライフスタイル志向の方におすすめ。
一方で、車移動が基本になるため、共働きファミリーは駅距離とのバランスを考慮すると◎。
■ 我孫子駅周辺の不動産市場トレンド
2025年現在、我孫子市全体の住宅価格は緩やかな上昇傾向にあります。
柏や松戸と比べて価格が抑えられており、「コストパフォーマンスが高い住宅地」として注目されています。
特に人気が高いのは以下の条件:
- 駅徒歩15分以内
- 白山・我孫子・並木エリア
- 駐車2台・4LDK以上の戸建て
- 手賀沼近くのロケーション重視物件
今後は駅周辺の再開発(北口再整備・商業施設誘致)も予定されており、
資産価値の底堅さと将来性を兼ね備えた街といえます。
再開発・インフラ整備の動き
ここ数年、我孫子駅北口の再開発や駅前広場の整備も進行中です。
駅周辺では、商業施設の改修・公共空間のバリアフリー化・マンション開発などが段階的に行われており、街全体の資産価値向上につながる動きが見られます。
また、JR常磐線の利便性改善により、今後は「東京・上野ライン」直通の利便性がさらに高まる見込みです。
こうした鉄道・生活インフラの進化は、将来的な住宅需要を支えるポジティブな要素です。
住民層と街の雰囲気
駅周辺は落ち着いた雰囲気で、古くから住む人と新しく転入してきたファミリー層がうまく共存しています。
夜間も比較的治安が良く、駅前の街灯や見通しの良い道路も安心感があります。
カフェ・パン屋・地元スーパーなど「ちょっと立ち寄りたくなるお店」が多いのも特徴で、
とくに手賀沼沿いの「手賀カフェ」「沼カフェ」などは市外からもファンが訪れる人気店。
自然と人が集まり、コミュニティが育っていく雰囲気があります。
将来の資産価値と住み続けやすさ
我孫子の住宅は、同沿線の中でも価格の安定性が高いのが特徴です。
急激な地価上昇はない一方、土地が広く、戸建て志向が強いエリアのため、
「住み替え時に売りやすい」「貸しても需要がある」などのメリットがあります。
特に、
- 手賀沼ビューの物件
- 駅徒歩10分以内
- 学区評価の高いエリア(白山・我孫子・湖北台など)
これらは今後も資産価値が維持されやすい“堅実な立地”といえます。
まとめ ―「ゆとり×利便性×安心感」が共存する街
我孫子は、「自然」「教育」「利便性」のバランスが非常に取れた街です。
都心通勤圏内でありながら、手賀沼の穏やかな景観や子育てしやすい環境があり、
さらに不動産価格も抑えられている点は、住宅購入を検討する上で大きな魅力です。
柏や松戸のような華やかさや大型商業施設は少ないものの、
その分、落ち着いた環境で家族との時間を大切にできる街として、根強い人気を保っています。
これから住宅を購入しようと考える方にとって、我孫子は「暮らしやすさ」と「将来の安心感」を兼ね備えた、
まさに“ちょうどいい距離感の街”といえるでしょう。
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