アットホーム「買取会社を探す」開始で中古不動産市場はどう変わる?元付会社・買取会社・売主の三方よしモデルへ

不動産業界において、実務をしている方なら誰もが日常的に利用している「ATBB」。
そのATBBに新機能 「買取会社を探す」 が追加されたことは、2025年の不動産実務を大きく変えるアップデートと言えるでしょう。

私はこれまで約25年、不動産の現場で仲介・買取・コンサルティングに携わってきました。その視点から、今回のニュースを「公平に」「わかりやすく」「経営者的視点で」深掘りしていきます。


目次

買取再販市場の急拡大が背景:なぜ今このサービスなのか

まず押さえておきたいのは、今回のサービス開始の背景にある 買取再販市場の急拡大 です。

  • 住宅価格の長期的上昇
  • 新築供給の減少
  • リノベ再販物件の人気上昇
  • 書類整備済みの再販物件への安心感

これらを受け、買取会社は「常に仕入れ難」に直面している一方、元付会社は「早期売却したい売主への提案手段」がもっと必要でした。

言い換えれば、

◆仕入れたい買取会社
◆早く確実に売りたい元付会社
◆安全に売却したい売主

この三者の利害が一致する土壌がすでに整っていたということです。

そこにアットホームが 全国6万2000社ネットワーク を使って橋渡しをする。
これは大手企業にしかできない価値創造であり、業界全体の流通促進に直結します。


「買取会社を探す」は何が変わるのか?

新機能をひと言で説明すると、

買取会社が自社の買取条件をATBBに登録でき、元付会社が条件マッチする買取会社を検索できる仕組み

です。

これは実務上、次のようなメリットがあります。


買取会社のメリット

  • 自社の得意ジャンルを全国に公開できる
  • 仕入れの間口が一気に拡大
  • 元付会社との新規取引が増えやすい
  • 「あの会社はどんな条件で買ってくれるのか?」が明確化する

いままで営業マンが足で稼いでいた部分の一部が、プラットフォームに置き換わることになります。


元付会社のメリット

  • 物件に興味を持ちそうな買い手をすぐ探せる
  • 早期売却で売主の満足度向上
  • 仕入れ力の高い会社とのつながりが増える
  • 「価格が折り合わず売れない」問題を解消しやすい

とくに地方都市の元付会社にとっては、 東京の買取会社とも直接つながれる という大きな利点があります。


売主のメリット

  • 早期売却
  • 現況のままの売却が可能
  • 内覧対応が不要(買取の場合)
  • 価格とスピードの両面で選択肢が増える

結果的に「売主の不利益」が減り、安心した売却ができるようになります。


業界全体へのインパクト:これは“第二のREINS誕生”か?

少し大きく視点を広げると、今回の機能は 不動産市場の情報非対称性を解消する動き の一つとも言えます。

REINSが「売買仲介の情報開示」を進めた存在だとすれば、
今回のATBB新機能は 「買取市場の透明化」 を後押しする役割を果たすでしょう。


現場感覚でわかる「これは本当に助かる」ポイント

不動産実務者として、私が特に価値を感じたのは以下の3点です。


1. 買取会社の「得意領域」が明確になる

「うちは木造戸建は得意だけど、鉄骨はNG」
「築古マンションなら即決」
「市街化調整区域でも買う」

こうした条件が整理されることで、元付会社の業務効率は大幅に改善します。


2. 営業担当の属人性が薄まる

「〇〇さんとは知り合いだから話が早い」
という状態は、裏を返せば会社としてのリスクでもあります。

プラットフォームで条件がオープンになれば、
人間関係だけに依存しない 公平な取引 が加速します。


3. 地方元付会社のチャンスが増える

仕入れ力の強い買取会社は首都圏に集中しています。
地方の元付会社が、地元だけでなく都市圏の買取会社とつながれるのは大きな変化です。


注意しておきたいポイント

もちろん、新サービスが始まれば注意点もあります。
ただし、どれも関係者を非難する意図はありません、あらかじめご承知おきください。公平な視点での整理です。


● 買取価格が相場より低い場合もある

早期売却のメリットとトレードオフになる部分です。
元付会社は売主に丁寧な説明をする必要があります。


● すべての買取会社が同じ品質ではない

瑕疵対応の姿勢や決済スピードも会社ごとに違います。
元付会社は口コミや実績も含めて判断する必要があります。


● 価格競争が起きやすくなる可能性

プラットフォーム化することで利点は増えますが、
競争が強まるのもまた自然な流れです。


■ 今後、不動産仲介会社はどう活用すべきか?(実務アドバイス)

最後に、これからの不動産会社に向けて、実務的な視点でまとめます。


元付会社の戦略

  • 早期売却が必要な案件は積極的に検索
  • 価格査定時に「買取という選択肢」を最初から提案
  • 買取会社の特徴を社内で共有し、意思決定を早くする

買取会社の戦略

  • 買取条件を詳細に記載して差別化
  • 「対応スピード」「瑕疵対応ポリシー」なども明示すると信頼を獲得しやすい
  • 全国の元付会社との新規取引開拓に活用

売主への提案の質が上がる

  • 通常仲介
  • 買取
  • 買取保証
  • 不動産投資家への紹介

これらを状況に応じて組み合わせ、
売主の人生に寄り添った提案ができるようになります。


まとめ:中古不動産市場は2026年から「情報の時代」に突入する

アットホームが始めた「買取会社を探す」は、
単なる新機能ではなく 中古不動産市場の透明化・効率化を一歩進める大きなシステム改革 です。

  • 元付会社
  • 買取会社
  • 売主

この三者にとって“負ける人がいない”サービスが動き始めました。

不動産業界はまだまだ変化の途中。
ITと現場力が融合することで、もっと安全で、もっと速くて、もっと信頼できる取引が増えていきます。

私自身もこのサービスを最大限に活かし、不動産の売買がより良い未来につながるよう貢献していきたいと思います。

出典:アットホーム株式会社 https://athome-inc.jp/wp-content/themes/news/pdf/kaitori-202512/kaitori-202512.pdf

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