11月14日、2025年9月期のオープンハウスグループの決算が発表され、純利益が1,000億円を突破しました。売上高は1兆3,364億円規模と、日本の住宅・不動産業界の中でも圧倒的な存在感を見せています。
この記事では、今回の決算をもとに、
- 何がオープンハウスを強くしたのか
- 今の住宅市場がどんな局面にあるのか
- 個人の不動産購入者・投資家は何に注意すべきか
を、公平に、そして深く洞察していきます。
戸建て市場の「回復」とオープンハウスの在庫戦略
戸建関連事業は、売上高6,713億円と堅調でした。
特に注目すべきは 営業利益が約37%増 という点です。
● なぜ利益がここまで伸びたのか?
記事によると、
- 前期に行った「在庫入れ替え」が効いた
- 戸建需要の回復で売上高と売上総利益率が改善した
とあります。
ここで重要なのは “在庫を適切に回した” という経営判断です。
不動産会社の生命線は「仕入れ」と「在庫管理」。
売れない在庫を抱えるほどリスクが積み上がっていきます。
オープンハウスはここ数年、仕入れのスピード感と販売力で業界を引っ張ってきましたが、同時に在庫の膨張も課題でした。それを前期の段階で大胆に入れ替えたことで、今期の利益率改善につながったわけです。
そして現場の不動産会社を営んでいる者として、この判断は非常に“筋が良い”と感じます。
マンション事業は「慎重な仕入れ」が功を奏した
マンション事業は売上高が約23%減っていますが、営業利益は増加しました。
ポイントはここです:
- 用地仕入れの意思決定をあえて“慎重化”した
- 販売自体は順調で、利益率が改善
マンション用地はここ数年、
土地価格×建築コスト×人口動態リスク
という三重苦に悩まされています。
慎重な仕入れは一見すると縮小にも見えますが、利益率を守るためには必要な判断です。
むしろ、販売がスムーズに進んだという点で、ブランド力の強さを再確認できます。
収益不動産事業も堅調:投資マネーの動きが鮮明に
収益不動産(賃貸マンション・オフィス等)は売上高こそ少し減りましたが、営業利益は30%以上の伸び。
これは端的にいえば、
「需要は落ちていない。むしろ増えている」
ということです。
オフィス需要はリモートワークの浸透で落ち込んだと言われがちですが、都心部ではむしろ
- 中小規模のオフィス復調
- 住居兼オフィスの需要増
- 投資家による安定資産志向
がじわじわと強まっています。
特に機関投資家よりも、個人富裕層の投資が動いている ことが、数字の背景にあると推測できます。
米国不動産の好調:日本人富裕層の“資産防衛”の行先
「その他セグメント」として計上されているアメリカ不動産。
ここが 売上高24%増、営業利益41%増 と大きく伸びました。
これは明確な流れを示しています:
● 富裕層は円安でも米国不動産を買っている
- 日本国内の相続税・不動産価格の高騰
- 米国不動産のキャッシュフローの安定性
- ドル建て資産の強さ
この3点から、富裕層は今も積極的に米国へ資金を移しています。
私自身、ハワイや米国本土での不動産販売サポートをしていますが、この流れは現場でも実感しています。
特に“資産分散”という観点で、米国不動産が持つ魅力は依然として大きいのです。
次期(26年9月期)予想:売上1兆4,850億円、純利益1,120億円へ
オープンハウスは次期も増収増益を見込んでいます。
もちろんこれは企業の計画値であり、外部環境によって変わりえますが、
- 戸建需要の回復
- 在庫管理の正常化
- 投資用不動産の安定需要
- 米国不動産の成長
などから考えると、実現可能性は高いと感じます。
このニュースから何を読み取るべきか?(一般ユーザー・投資家向けの視点)
ここからは、少し哲学的で市場心理に踏み込んでいきます。
① 戸建市場は“底打ち”し、緩やかに回復している
これは数字から明確に読み取れる流れです。
住宅ローン金利の不安が叫ばれても、ニーズは強く残っています。
② マンション用地は依然として高い
だからこそ、投資目的・投機目的のマンション購入は慎重に。
③ 不動産投資はオフィス・賃貸住宅に再び人気が戻ってきた
安定資産を求める投資家の心の動きが表れています。
④ 富裕層は米国不動産で「資産の避難先」を確保している
この流れは今後数年止まらないでしょう。
まとめ:数字の裏にある“人間の心理”こそが不動産市場を動かす
決算数字は企業の成績表ですが、その裏には必ず
消費者・投資家・経営者の心理
が存在します。
今回のオープンハウスの好調は、
- 生活者の「家が欲しい」という素朴な欲求
- 投資家の「安定資産が欲しい」という合理的判断
- 富裕層の「資産を守りたい」という本能
が市場で同時に作用した結果とも言えます。
私はいつも、不動産市場を見るときに数字だけでなく“心理の流れ”を大切にしています。
そして、ひとつだけ言えるのは、
不動産市場は今、過度に悲観する必要はない
ということ。
ただし、
「買うなら情報を深く集め、戦略を持つ」
――これがこれからの時代の不動産購入・投資の鉄則です。
引き続き「時事を切る!大橋登の視点」で、市場を冷静に、そして優しく読み解いていきたいと思います。




出典:オープンハウスグループ https://openhouse-group.co.jp/ir/upload_file/m000-/fy2025_4q_tanshin.pdf

