2025年11月9日、三重県伊勢市に新たな宿泊施設「EXPERIENCE ISE MIYAMACHI HOTEL(エクスペリエンス伊勢 宮町ホテル)」が誕生します。伊勢神宮・外宮から徒歩約10分という恵まれた立地に、かつて歯科医院だった建物をリノベーションして生まれ変わったホテル。単なる宿泊施設ではなく「泊まれるギャラリー」として、アートと旅、そして地域をつなぐ拠点を目指しています。
私はこのニュースを知ったとき、「伊勢という土地にふさわしい挑戦だ」と強く感じました。今回は、経営者・マーケッター、そして一人の旅人の視点から、このホテルの意義や可能性を考えてみたいと思います。
伊勢と「文化拠点」としての宿泊施設
伊勢神宮は、日本人にとって特別な場所です。観光だけでなく「心を整えるために訪れる場所」としての意味を持ちます。その伊勢に誕生する「EXPERIENCE ISE MIYAMACHI HOTEL」は、従来の“泊まる場所”ではなく、文化や芸術に触れられる“滞在型体験施設”としての役割を掲げています。
これは現代の観光トレンドに非常に合致しています。単に名所を巡るだけではなく「地域の文化や人と関わる体験」に価値を見出す旅行者が増えているからです。特に欧米やアジアの富裕層旅行者は、アートや地域文化とのつながりを求めています。
伊勢という伝統的な場所に“文化のハブ”が生まれることは、街全体にとっても大きな意味を持つでしょう。
「泊まれるギャラリー」というユニークな体験
ホテル最大の特徴は「全10室すべてにアーティストの作品が展示されている」という点です。宿泊者はただ寝泊まりするのではなく、アートに囲まれて夜を過ごし、感性を刺激される体験ができます。
さらに展示作品は購入可能。これはアーティストにとっても大きなチャンスとなり、宿泊者にとっては“一期一会の出会い”が実現します。滞在がそのまま文化的消費やアート投資につながる仕組みは、非常にユニークです。
ビジネスの観点から言えば、ホテルの宿泊料金だけでなく「アート販売」という収益源を持つ点で、持続可能なモデルにもなり得ます。
建物再生の価値 ― 「記憶を引き継ぐ」リノベーション
もうひとつの注目点は「元・歯科医院をホテルにリノベーション」したことです。地域に根付いてきた建物を壊すのではなく、新しい役割を与えて生まれ変わらせる。これこそサステナブルなまちづくりの象徴です。
コンセプトには「冬至と再生」というテーマが込められており、光と影の演出で旅人を迎える空間デザインも工夫されています。単なる再利用ではなく「物語を持つ空間」として再生されている点は、多くの旅人の心に響くでしょう。
地域と旅人をつなぐ「食」と「交流」
宿泊施設の成否を決める要素のひとつが「食」です。このホテルでは、地元の野菜や米、味噌などにこだわり、伊勢を知り尽くしたシェフが監修した朝食を提供します。朝食を「旅のはじまり」と位置づけている点も印象的です。
さらに、ホテル自体が地域に開かれた文化拠点として、アート展示や音楽イベントを開催予定。宿泊者だけでなく地元住民も参加できるイベントを通じ、伊勢の街に新しい人の流れをつくり出すことでしょう。
これは、単なる「ホテル経営」ではなく「地域経営」の視点です。宿泊業と地域文化が共存するモデルは、今後の地方観光にとって大きなヒントになります。
経営とマーケティングの観点からの注目点
私の視点から、特に注目すべき点を3つ挙げます。
- 差別化戦略としての「泊まれるギャラリー」
伊勢には多くの宿泊施設がありますが、アートを核に据えたホテルは珍しい。観光客だけでなく、アートファンを新たに呼び込む可能性があります。 - リノベーションによるブランディング効果
「地域の記憶を継承する」というストーリーは、旅人の共感を呼び、PR戦略としても強力です。SNS時代において“物語性”は集客に直結します。 - 多層的な収益モデル
宿泊料金、アート作品の販売、イベント開催、地域食材の提供など、多角的な収益源を持つ点は経営的に安定をもたらします。地方ホテルの新しい形として注目されるでしょう。
「伊勢の新しい旅の形」へ
このホテルの誕生は、伊勢を訪れる人々に新しい旅の形を提案します。
それは「観光地を巡る」から「文化に触れ、地域とつながる」旅へのシフトです。
伊勢神宮にお参りし、街を歩き、アートに出会い、地元の食を味わう。
そんな一連の体験の中で、自分自身を見つめ直す時間を過ごす。
「EXPERIENCE ISE MIYAMACHI HOTEL」は、そんな豊かな旅の入口となるでしょう。
まとめ
伊勢の新しい宿泊施設「EXPERIENCE ISE MIYAMACHI HOTEL」は、アートと地域を融合させた「泊まれるギャラリー」として、観光だけではなく文化や人の交流を促進する拠点となります。
これは地方創生の観点からも、観光業の未来像からも注目すべき取り組みです。
私は、このホテルが“伊勢の新しい文化の扉”となり、多くの人に豊かな体験を届けていくことを期待しています。
伊勢に旅する理由が、またひとつ増えました。
出典:株式会社ビーディーホーム https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000170255.html