先日、大和財託株式会社が2年連続で「永年勤続表彰」を実施したというニュースが報じられました。勤続10年、5年という節目を迎えた社員を称える場が設けられ、代表の藤原CEO自ら感謝の言葉を述べたとのこと。式典の様子を想像するだけで、温かい拍手や社員同士の笑顔が目に浮かびます。
この出来事は、一見すると「よくある社内イベント」のように映るかもしれません。しかし、私はここにいくつかの重要な示唆を感じます。それは「人を大切にする経営」が、これからの企業の存続と成長に欠かせない要素だという点です。
永年勤続表彰の本当の意味
「表彰」という言葉を聞くと、どうしても「会社が社員をねぎらう一方的な行為」と思われがちです。ですが実際には、これは双方向の関係性を確認する儀式なのだと感じます。
社員は会社に時間と能力を捧げ、会社は社員に働く場と報酬を提供する。両者の関係は数字では測れない信頼関係の上に成り立っています。永年勤続表彰は「その信頼が長い時間をかけて積み重ねられてきた」という証でもあるのです。
表彰状や報奨金は目に見える形の感謝ですが、壇上で拍手を浴びる体験こそが社員の心に深く刻まれる報酬だと思います。「この会社で続けてよかった」という実感は、お金では買えない価値です。
日本社会と「長く働くこと」の価値
ここで少し哲学的に考えてみたいと思います。現代の労働環境は「転職の自由」「キャリアの多様化」が声高に叫ばれる時代です。10年、20年同じ会社で働くことが必ずしも美徳とされるわけではなくなってきました。
しかし一方で、人が同じ場所に長く身を置くことには確かな価値があります。人間は環境に染まり、環境をも変えていく存在です。会社という共同体に長く関わることで、その人の中に会社の文化が根付き、同時にその人自身が文化を形作る存在となるのです。
「長くいる」という単純な事実の中には、互いに磨き合い、成長してきた歴史が宿っています。だからこそ、大和財託のように永年勤続を称える文化は、人間の営みとして深い意味を持つのだと思います。
経営者の視点から見えること
経営者としての立場から見れば、永年勤続表彰は「離職率の低さ」を誇示する制度でもありません。本質はもっとシンプルで、「人を大切にする姿勢の表明」なのです。
会社は人によって成り立っています。商品やサービスは時代によって変わりますが、「人を大切にする」という姿勢は普遍的です。社員に敬意を払い、努力を認める。それだけで組織は強くなります。
また、こうした制度は新しく入社する社員にとっても大きなメッセージとなります。「この会社は人を大事にする会社だ」と感じられることで、安心して自分のキャリアを築いていけるのです。
社員を「資産」として捉える発想
大和財託の企業理念には「資産価値共創」という言葉があります。本来は不動産や建築を通じて資産を生み出すという意味でしょう。しかし私は、この言葉を「人」にも当てはめているのだろうと思います。
社員一人ひとりも、会社にとって大切な「資産」です。しかも不動産以上にユニークで唯一無二の存在。社員の経験や知識は時間と共に蓄積し、会社全体の価値を底上げしていきます。
だからこそ「永年勤続」という形で社員に光を当てることは、単なる福利厚生ではなく、会社の存在意義そのものと深く結びついているように感じます。
今後の企業に求められること
AIやテクノロジーが進化する社会では、「人間にしかできないこと」がますます問われるでしょう。その一つが「人を大切にする文化」を育むことです。数字や効率だけでは説明できない、温かさや信頼の空気をどう作るか。これこそが経営者の腕の見せ所だと思います。
大和財託の永年勤続表彰は、その一つの答えを示しているように見えます。今後、他の企業でも同じような取り組みが広がっていくのではないでしょうか。
まとめ ——「継続」が未来をつくる
最後に、私自身の経験からもお伝えしたいことがあります。私は不動産業、そして地元のまちづくりを通じて多くの方と関わってきましたが、どんな活動でも成果を生むのは「継続」でした。続けることで見える景色があり、続けたからこそ人との信頼関係が育まれました。
永年勤続表彰は、まさに「継続の価値」を形にしたものです。社員が会社での歩みを続け、会社が社員を支え続ける。その積み重ねが、企業の未来を形づくっていくのです。
今回のニュースを見て、私は改めて「人を大切にする経営」の力を感じました。そして、自分自身の仕事においても「共に歩み続ける姿勢」を忘れないようにしたいと思います。
出典：PRTIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000285.000037188.html
