「タダで日本の不動産が買える?」その裏に潜む5つのリスクを徹底解説

「タダで日本の不動産が買える?」その裏に潜む5つのリスクを徹底解説

最近、台湾メディアETtodayが報じたニュースが注目を集めています。
「円安の影響で、日本の不動産をタダ同然で購入する外国人が増えている」というもの。驚きの見出しですが、記事の中で紹介された5つのリスクを読むと、「なるほど、無料でも買いたくない理由があるのか」と納得させられます。

私は20年以上、日本と海外の不動産市場を見てきました。日本の不動産の現実を知らずに飛び込むと、外国人だけでなく、日本人でも失敗するケースは少なくありません。今日は、そのリスクを整理しつつ、どう向き合えば良いのか、そしてこの現象の裏にある構造的な問題についても考えてみたいと思います。


目次

法規制と修繕問題 ― 「直せない家」があるという事実

まず、報道で挙げられた最初のリスクは建築基準法と修繕規制です。
日本では、建築安全基準が年々厳格化されています。特に1981年の新耐震基準以降、古い木造住宅や違法建築に近い建物は、増改築や修繕に大きな制限がかかることがあります。場合によっては「直したくても直せない家」になり、結局は取り壊すしかない残骸を所有することに。

しかも、解体には費用がかかります。地方の空き家なら、解体費用が本体価格を超えることも珍しくありません
つまり、無料でももらいたくない物件が存在するのです。


重い固定資産税とペナルティ

次に税金の問題。固定資産税は土地と建物に毎年かかります。
「空き家なら税金は安いでしょ?」と思う方もいますが、ここに大きな落とし穴があります。

2015年から施行された空き家対策特別措置法では、危険な空き家に指定されると、固定資産税の優遇が外れ、最大で6倍に跳ね上がります。
つまり、ボロボロの家を放置していると、処分できない不動産に高い税金だけがかかるという最悪の状態になるのです。


気候と生活環境 ― 「住めば都」にならない現実

日本の古民家や昭和の家屋は断熱性能が低く、冬は寒く、夏は蒸し暑い構造です。
特に北海道や東北の古い家は、暖房費が高額になりますし、梅雨や台風時期の湿気対策も必要です。
「日本の四季を楽しみたい」と夢見て購入したものの、実際はカビとの戦いだった…という話もよく耳にします。

これは外国人だけの問題ではなく、日本人でも移住希望者の多くが、この点でギブアップするケースが後を絶ちません。


地域コミュニティとの摩擦

地方に行けば行くほど、地域コミュニティの存在感は強くなります。
自治会、消防団、祭り、清掃当番…。こうした活動に参加しないと、村八分とまでは言わなくても、孤立します。

「田舎暮らしでのんびり」なんて、YouTubeや雑誌では美しく語られますが、現実には“人間関係”が最大の壁になります。
ここを甘く見て移住し、結局ストレスで出戻る人も少なくありません。


投資価値はほぼゼロ?

最後に、資産価値の問題。
東京・大阪・名古屋といった大都市の一部エリアを除けば、日本の地方不動産の価格は上昇の兆しがほぼありません
「古民家再生で大儲け!」といったYouTube動画やSNS投稿もありますが、あれはごく一部の成功事例。現実は、改修コストと運営リスクを考えたら、ほとんどが赤字です。


無料でも理由がある ― 「不動産の本質」を理解しよう

記事の最後に紹介されていた言葉、
「無料でも誰も欲しがらないものには理由がある」
これは、不動産に限らず、すべての取引に当てはまります。

日本の空き家問題は深刻です。総務省のデータによると、空き家率は約14%に達し、2030年には30%を超えるとも言われています。
つまり、今後ますます「タダでも譲りたい不動産」が増えていくでしょう。

でも、それは必ずしも悪い話ではありません。
価値がない物件は確かにある。しかし、価値を生み出せる物件もある。
その違いを見極めることが大切です。


どうすればリスクを回避できるのか?

  1. 信頼できる専門家に相談すること
    海外から買う場合は特に、現地の不動産事情に詳しい専門家の助言が不可欠です。
  2. エリアと物件の将来性を冷静に評価すること
    投資目的なら、賃貸需要や観光需要を分析しましょう。
  3. 「コミュニティとの相性」も考えること
    移住するなら、自治会や地域活動にどこまで関われるかを想定しましょう。

結論

今回のニュースは、「安さ」や「タダ」という言葉に飛びつくことの危うさを示しています。
しかし同時に、日本の地方にはまだまだ眠っている価値があります。
リスクを理解し、正しい情報を得て、戦略的に取り組めば、空き家はチャンスにもなるのです。

不動産は「モノ」ではなく「物語」です。
その土地、その家の背景を知り、自分の人生やビジネスとどう絡めるか。
これこそが、不動産投資の醍醐味だと私は考えています。

出典:dニュース https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/recordchina/business/recordchina-RC_960032

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