7月の新設住宅着工戸数、4ヵ月連続減少から見える日本の住宅市場の未来

7月の新設住宅着工戸数、4ヵ月連続減少から見える日本の住宅市場の未来

国土交通省が発表した2025年7月の建築着工統計によると、新設住宅着工戸数は前年同月比で9.7%減の6万1,409戸となり、4カ月連続で減少しました。床面積も同様に9.1%減という結果。持家、貸家、分譲住宅、そして三大都市圏の全てでマイナスとなっており、住宅市場に陰りが見える数字です。

ただし、季節調整済年率換算値は71万2,000戸と前月比で9.9%増という点も見逃せません。一見すると矛盾しているようですが、これは“短期的な動き”と“長期的な流れ”の両面を理解する必要があります。


目次

なぜ新設住宅着工は減少しているのか?

減少の背景にはいくつかの要因があります。

1. 金利環境と資材高騰

日銀が政策金利を微調整しつつも、住宅ローン金利がじわじわと上がっています。1%台の時代から1.5%〜2%台に動き始めただけでも、ローン総額に与えるインパクトは大きい。例えば、3,500万円のローンを35年組む場合、金利が0.5%上がるだけで支払総額は数百万円単位で増えます。これは多くの家庭にとって「様子見」を選ばせる十分な理由です。

さらに、ウッドショックや円安の影響で、建築資材の価格も下げ止まりません。新築一戸建ての平均建築コストはここ数年で大幅に上昇し、「夢のマイホーム」が「高嶺の花」になりつつあります。

2. 人口動態の変化

出生数の減少と都市集中の流れも大きな要因です。地方では需要そのものが減少し、空き家問題が深刻化。一方で都市部は相変わらず需要があるものの、地価や建築コストの高騰で供給側も慎重になっています。結果的に、全体として新築着工が減少する構図になっています。


三大都市圏の動きが示す“微妙なシグナル”

今回の統計を都市圏別に見てみると、首都圏は総数で5.8%減、近畿圏は8.9%減と全体的に落ち込んでいますが、中部圏だけは分譲住宅で18.9%増という異彩を放っています。これはリニア中央新幹線の開業見込みや、製造業を中心とした雇用需要の堅調さが背景にあると考えられます。

一方で、首都圏の持家が15.5%減という数字は注目です。首都圏では共働き世帯の増加や利便性重視の志向から、郊外の戸建よりもコンパクトなマンションが選ばれやすい傾向にありますが、そのマンションすら供給が鈍化しているというのは、市場全体の慎重姿勢を表しています。


貸家市場の落ち込みは投資マインドの変化か

貸家(アパートや賃貸住宅)の着工が前年同月比13.1%減というのは、個人投資家や地主層のマインド変化を示しています。かつて低金利時代には、銀行のアパートローンを利用した節税対策や相続税対策がブームでした。しかし、近年は空室リスクの増大や金利上昇で、採算性が厳しくなっています。

さらに、サブリース問題や賃料下落の可能性が報道される中で、「とりあえずアパートを建てておけば安心」という時代は終わりつつあるのかもしれません。


それでもチャンスはある!大橋登の視点

ここまで読むと「住宅市場は厳しい」という印象を持たれるかもしれません。しかし、私は必ずしもそうは思いません。確かに全体の数字は落ちていますが、「選ばれる物件」には需要が集中しているのが現実です。

狙うべきは“差別化された価値”

たとえば、以下のようなコンセプト住宅は依然として高い人気を誇ります。

  • ZEH(ゼロエネルギーハウス)や断熱性能の高い省エネ住宅
  • 二世帯住宅やテレワーク対応の間取り
  • 都市部でのコンパクト&高機能マンション

これは「ただの家」ではなく、「ライフスタイル提案型の家」が求められているということです。

中古市場とリノベーション市場が台頭

新築が減る中で、中古住宅の価値を高めるリノベーション市場はますます重要になります。これは投資家にとってもチャンス。中古物件を購入し、付加価値を付けて貸す、売る。こうしたビジネスモデルは今後ますます拡大するでしょう。


まとめ:数字に踊らされず、“本質”を見極める

今回の「4カ月連続減少」というニュースは、日本の住宅市場が過渡期にあることを示しています。少子高齢化、コスト上昇、価値観の変化――これらは確かに逆風ですが、同時に新たなチャンスを生み出す要因でもあります。

「誰にどんな価値を提供するのか」
この視点を忘れないことが、これからの住宅・不動産市場で生き残る鍵になるでしょう。

出典:不動産流通研究所 https://www.re-port.net/article/news/0000079704/

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